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Staff Stories

マネージャーって必要? 前提の見直しをもたらした、UIデザイナーならではの視点

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「Staff Stories」では、A.C.O.のスタッフを紹介しています。今回登場するのは、UIデザイナーの石井 宏樹。石井はWebサイトから業務システムなどの幅広いUIデザインを行う他、2021年には当時のデザイン部のマネージャーに就任、現在はキャリアマネージャーを担当。UIデザインにおけるこだわりや組織再編のプロジェクトについて話してもらいました。

石井

Ishii Hiroki

UIデザイナー、デザインマネージャー。早稲田大学創造理工学部 建築学修了。建築設計事務所にて意匠設計の経験を経て、2017年よりA.C.O.に入社。Webサイトからスマートフォンアプリ、業務システムまで幅広くUIデザインを行う。マネージャーとしては8人のデザイナーチームを担当。趣味は浅煎りのコーヒーとスパイス料理。

A.C.O.は、Wantedlyでたまたま募集を見つけて応募しました。WebやUIのデザインは未経験だったので採用してくれるところがほとんどなく、その中で唯一面談してくれたのがA.C.O.。当時は大学院卒業後に就職した建築設計事務所を1年ほどで辞めたところで、仕事も無いし、A.C.O.がどんな会社かそこまで細かく見ていませんでした。あれから5年が経ち、今年で6年目になります。

僕が参加するプロジェクトとしては、アプリや業務システムのUIデザインが多く、Webサイトの制作などもあります。昨年10月からの約半年間は、「キレイパスコネクト」という美容医療の業務システムのプロジェクトにリードデザイナーとして関わっていました。

キレイパスコネクトのUIデザイン

予約システムや電子カルテ、Web問診などの現在公開されている機能のすべてをつくる、かなり複雑なプロジェクト。こういった特定領域の業務システムのデザインは、やってみないとわからないことがたくさんあるのがおもしろいんです。はたから見ると「なんでこんなことしてるの?」「無駄じゃない?」と思うことでも、調べてみるとそれが必要な理由が徐々にわかってくる。「本当はやりたくないけれど、法律上必要だから」などの事情が見えてくることにおもしろさを感じます。

やっぱりUIデザインは、そういったデザインする対象やその領域について深く理解することなしにはつくれません。既存のワークフローや従来の業務の進め方をそのままなぞっただけのものはDXとは言えないし、それは単に紙をデジタルに置き換えただけ。実態を理解してこそ、「そもそもこの業務は必要なのか?」という前提から見直すことができるはずです。

このような難易度の高さも、自分としてはおもしろく感じるポイントです。UIって、ルールを守ってつくっていくと、どんなシステムでもだいたい同じようなパーツやカラーパレットに収束していきます。もちろんそのルールがあるから安定して良いものがつくれるし、会社としての視点に立てば、再現性があるのがメリットではあります。でも、「この間と同じようにきれいにつくればOK」だとやっぱりおもしろくない。だから僕は、新しい業界や領域のプロジェクトに挑戦し続けることで自分が飽きないようにしています。

今の世界の中で、トップレベルのものをつくる

僕はUIデザインの「クオリティ」について、「使いやすさ」と「見た目の美しさ」を大切にしています。基本的にUIは「使い慣れているもの=使いやすいもの」なので、特殊な業務システムやそのプロダクト特有の機能であっても、見覚えのあるUIで如何につくるかがポイントです。

例えばリニューアルの場合、サイトやサービスを普通に使ってみて使いづらいところを確認します。同じ機能が複数ページに重複していたり、見慣れないUIのパーツがあったり、パーツの使い方がおかしかったり。そういった部分は改善できるポイントです。

見た目の美しさも、究極的に言えば「使いやすさ」です。ぱっと見でほしい情報が入ってくるか、文字の大きさや色の使い方にノイズがないか、ほしい情報よりも別の部分が目立っていないか。そういった部分を、普段からよく使っているデザインがきれいなアプリと見比べるようにしています。GoogleカレンダーやTwitter、LINEなど、デザインのレベルが高いものと比較して、自分がつくっているものはそのレベルまで達しているか、と。

こうしたクオリティに対する意識は、大学生の頃から持っています。建築学科だったので、周りの皆も「今の世界の中でトップレベルのものをつくる」という意識をもっていました。そうでなければ、そもそも大学で勉強する意味がない。その意識のまま今に至っています。

A.C.O.の良い点の一つに、会社としてデザインのクオリティに非常に高い意識を持っているところがあります。採用の段階からデザインへのこだわりを見ていること、役員やリードデザイナーの人たちが厳しい目を持ってしっかりレビューしていることが、クオリティを維持できているポイントだと思います。その意識が会社全体にあるから、働きやすいですね。

やっぱり、自分の所属している会社が手がけたデザインがイマイチだったら、その会社にいたいとは思えない。そこは人に自慢できる会社、憧れる会社がいいですよね。

1年間のマネージャー経験が、組織再編のヒントに

2021年1月から約1年間、UIデザインチームのマネージャーを務めていました。一番大変だったのは、チームメンバーのアサイン調整。どうしても直前でクライアントさんの予定が変わることはあって、そういった場合のメンバーの稼働調整はまるでパズルのようでした。

でもやってみて、マネージャーの仕事にそこまでの必要性は感じなかったんです。そもそもマネージャーって必要なのかな、と。もちろん、やったからこそ見えたプラスの部分もあります。例えば、A.C.O.のマネージャーは現場が思っている以上に社員一人ひとりのことをかなり細かく把握しています。「この人は、こういうことをやりたいって言っていたから、このプロジェクトに入ってもらおう」など、なるべく本人の希望が叶うようにもしてくれる。それは良いことではあるんですが、逆にマネージャーに頼りすぎなのかな、とも思ったんです。そういった意識や経験が、今年行った組織再編のプロジェクトにつながっていきました。

もともと「部署という制度が合っていないのでは」という意見があり、役員とマネージャーが中心となって新しい会社の仕組みを考えるところから、このプロジェクトは始まりました。UI/UX/PMと3つの部署に別れていることで、多くのメンバーが領域を横断しながら業務をしているのに、その一部しかできないように思われてしまうなどの弊害が大きかったんです。部署の割り振りの見直しから始まり、いろいろと調べていく中で「ホラクラシー組織という仕組みを使ってみようか」ということになり、再編に至りました。

この再編により、かなり実現しようとしていた形に近づいたように感じます。ホラクラシー組織は、最初に必要な役割を定義して、その役割ごとに誰にやってもらうかを決めるという仕組み。そうすると「役割がよくわからないけど、とりあえずそこにいる」といったことがなくなるので、いろいろなことを考えやすくなりました。ホラクラシーは上下関係がなくフラットな組織だというイメージを持たれることが多いですが、実はしっかり階層構造が決まっています。承認者も明確なので、話が進みやすいのが利点です。

組織再編について検討を重ねたMiroボード

自主性を引き出し、デザイナーがデザインし続けられる組織へ

僕がこの組織再編で最もやりたかったのは、「一人ひとりが自主的に、自発的に社内で動けるようになる」こと。マネージャーをやってみて、今まではマネージャーに頼ることが多すぎたなと気づいたんです。そこをある程度自分でやってもらうことで本人の成長にもつながるし、会社としても良い影響があるはずです。

やっぱりマネージャーにはある程度経験のある人がなるわけで、そうするとその分その人はクライアントワークに割ける時間が減ってしまいます。それはつまり、最もプロジェクトで活躍できる人が、プロジェクトに入れなくなってしまうということ。この再編によって、キャリアのある人もしっかりプロジェクトに入れるようにしていきたいと考えています。

同時にチームのメンバーにも、リードデザイナーに頼らなくてもどんどん一人でつくれるようになってもらいたいと思っています。全てを自分で決めて判断できるようになるには、勉強はもちろんのこと、リードデザイナーとしての責任を持てるかどうかが重要。そのためには、マネージャーがあれこれ目をかけすぎないほうがいいというのが僕の考えです。

それに僕自身、まだまだクライアントワークでUIデザインをちゃんとやっていきたい。やっぱりこの仕事が一番楽しいんです。離れてしまうとわからなくなってしまうから、社内の仕事とのバランスは大切にしています。

とはいえ今回の組織再編や、合わせて行った給与制度の改編などに関わることが出来たのは、僕自身のキャリアとしても良かったなと思っています。例えば今後デザイン組織を立ち上げる時などに、参考になる経験をつむことができました。

今後は、会社の経営部分まで見れるなら見てみたいと思っています。A.C.O.には、プロダクトだけでなく物理的なものや空間のデザイン、あとはAR/VRなどのデザインをやりたいと考えているメンバーもいます。収益性の高い案件を増やせば全員の給与をあげることはできるけど、それは会社として本当にやりたいことなのか。そういったことを考えながら、会社が進む方向性を決める部分にも関わってみたいですね。

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by Monstarlab Design Journal

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