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A.C.O.のデザインスプリントマスターが現場を通して学んだ心得

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デザインスプリントのニーズは増えている?

こんにちは! A.C.O. UXです。2年程前からA.C.O.ではプロジェクト開発で、デザインスプリントを取り入れてきました。当時は、デザインスプリントを行っている会社自体あまり聞きませんでしたが、最近、少しずつですが、採用する企業が増えてきたように感じます。

実際、弊社でもデザインスプリントについて問い合わせいただく機会が増えてきています。今回は、「デザインスプリント」がどんな背景で生まれたのか?どのように行うべきかなど、いくつかポイントを抑えながら紹介したいと思います。

グーグルがデザインスプリントの生みの親!?

デザインスプリントの始まりは、2016年にGoogle Ventures(GV)によって発行された本、SPRINTが発端です。著者のJake KnappはGoogleに入社時にブレインストーミングの効率的なワークショップの方法を考えていました。彼はその時に、迫りくる制限時間の中でアイデアを考える時こそ、最もよいプロダクトを生むことが出来るということを発見しました。

個別の作業、プロトタイプ作成の時間、逃れられない締切をワークショップに加えたらどうなるだろう?こうして開発したプロセスを、デザインの短距離走として、「スプリント」と名づけた。(引用 SPRINT 最速仕事術)その後、デザインスプリントについて詳しくまとめた方法が1冊の本となって、デザインスプリントが初めて紹介されました。

デザインスプリントの成熟と現状

オリジナル書籍の発売から3年が経ち、少しずつデザインスプリントを紹介する本や記事が出てきましたが、ほとんどはGoogle Venturesの方法をまとめたものです。Google Venturesのデザインスプリントは調査、理解からプロトタイプ作成までを1日8時間×5日で行うプログラムです。しかしながら、組織構造の違いや、プロジェクトのスコープの違いなどで、実行する時間が無い、新規事業開発で使いづらいなど、導入が難しい話をよく耳にします。

Google Venturesデザインスプリントのプロセス図

Google Venturesデザインスプリントのプロセス図

そんな中、最近ではGoogle Venturesのデザインスプリントのプログラムから離れた独自にカスタマイズをしたプログラムを提案している企業が増えてきていると感じます。

例えば、AJ&Smartのデザインスプリント2.0では問題理解からユーザーテストまでを4日間で終わらせるプログラムを作っていたり、Design Sprint Schoolの創立者であるTenny PinheiroはMVSモデルというサービスデザインに特化したデザインスプリントのプログラムを提案しています。

日本ではAQ株式会社が、長時間にわたって同じ場所を確保することができないという問題を解決するために、持ち運びが容易なデザインスプリントのキットを同社のメディアで紹介しています。

AQ、Design Sprint School、Design Sprint 2.0におけるデザインスプリントの取り組み例

AQ、Design Sprint School、Design Sprint 2.0におけるデザインスプリントの取り組み例

デザインスプリント=「問題解決のための仮説を、短期間で検証すること」

独自のアプローチをしている企業が増えてきている一方で、それって本当にデザインスプリントなの?ただのワークショップじゃないの?と疑問を持つ人もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで、デザインスプリントとはどんな意味なのか、言葉の定義から考えていきたいと思います。デザインスプリントという言葉はデザインとスプリントをあわせた造語のためそれぞれの言葉の意味から分解して考えてみます。

デザインとは

デザインという言葉の語源はラテン語の「designare」。意味は指し示すことです。それを考えると、デザインとは、何か問題を抱えていて、出口が見えない中、ゴールを指し示してくれるもの=問題解決をすると言うことができるのでしょうか。

スプリントとは

スプリントとはアジャイル開発プロジェクト管理用語で、定められた期間内に特定の動作する機能を生み出す時間枠の事をいいます。この決められた期間というのは、プロジェクトによって異なります。限られた時間の中で集中して行うという意味で1週間など短い期間を1タームとしてとらえる事が多いようです。

デザインスプリントとは

これら2つの言葉の意味を合わせると、デザインスプリント=「問題解決のための仮説を、短期間で検証すること」と言えます。つまり、Google Venturesのデザインスプリントのプロセスに必ず沿わなくとも、この定義を満たす事ができれば、色々な組織やプロジェクトの内容に合わせてカスタマイズをすることができるのではないかと私は考えています。

デザインスプリントでの心得

前半は、デザインスプリントの定義についての確認でした。(デザインスプリントをカスタマイズをするって大変ですね)ここからは、A.C.O.が実際に現場に取り入れている、デザインスプリントを行う上での心得を紹介したいと思います。

条件に合わせたフレキシブルなスケジュール作り

デザインスプリントを企画する時によく耳にする問題が、「一日中、長時間にわたってクライアントを拘束できない」「5日間のプログラムを全部行う事が難しい」といった時間に関連するものです。

そんなときは、あまり時間にとらわれず自分たちのできる範囲でプログラムを組むことをおすすめします。毎日顔を合わせるのが難しければ、日数を開けてしまってもかまいません。

短期間で行う集中力がキープできる範囲であれば、スプリント中に休憩を入れたり、1日あたりのプログラムの時間を削るなど時間の調整をしてみてはどうでしょうか?<ただ、あくまでスプリントであってマラソンではないので、あまり日数が長引いてしまうとチームが疲弊してしまう原因になってしまうので注意が必要です。

フレキシブルに組み替えるスプリントのプログラム例

フレキシブルに組み替えるスプリントのプログラム例

できるだけユーザーのリアルな声を聞くこと

ユーザーの声はプロダクトを開発する上で重要になってきます。ターゲティングが出来ていない、仮説すらも立っていない状態でデザインスプリントを行っても、よい成果は得られないでしょう。A.C.O.では、デザインスプリントの事前準備として定性調査を行っています。ユーザーの声を聞いてから、スプリントにとりかかる事で、本質的なユーザーの課題を見つけることができます。

発散と収束を明確に。楽しむ時はとことん楽しむ!それぞれの視点をもった専門家の知恵を使って決断する。

デザインスプリントでは、課題の解決策を考える時に発散と収束を意識するとよいです。発散収束を考える上で大切なことは、発散をする場合はできるだけ多くのアイデアを出し、収束する時には、メンバーの専門性を最大限に生かして適切なアイデアを選択するということです。

豊かなアイデアを出すためには引き出すためのチーム作りとファシリテーションが重要になってきます。間違ったアイデアを批判せず、むしろおおらかに受け入れる文化をチームの中で作ることで、思いもよらなかった意見がでてくるでしょう。

しかしながら、発散させたままだと、実現可能性が低いアイデアで終わってしまいがちです。それぞれの専門家が知恵を出し合って、ユーザー視点、事業可能性、技術的実現可能性を踏まえた上でアイデアの洗濯をすることでプロダクトの成功により近づくことができるのではないでしょうか。

デザインスプリントでの発散収束のダイアグラム図

デザインスプリントでの発散収束のダイアグラム図

A.C.O.でのデザインスプリントの様子

A.C.O.でのデザインスプリントの様子

デザインスプリントをなぜ行うのか?

デザインスプリントは仮説のアイデアを大きく前に進めるために有効なプロセスです。特に決まったフレームは存在しないので、「問題解決のための仮説を、短期間で検証すること」を目的に、プロジェクトに関わる人や内容、予算などに応じてに組み替えることができます。また、仮説を短期間で検証することができるので、もし仮説が間違っていたとしても、すぐに方向転換することができます。

デザインスプリントの手法に関してはオンラインや書籍などで簡単に調べることができますが、実際の現場ではスコープに合わせたプログラム作りや進行など、導入障壁が高いと感じる方もいるかもしれません。

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