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イラストレーターからみた「イラストの指示はこうして欲しい!」

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「なんかイマイチなんで、もっといい感じの表現でお願いします!」ちょっと大袈裟かもしれませんが、イラストの指示をするときにこのような抽象的なフィードバックをしてしまったことはありませんか?

具体的な指示になっていない言葉というのは受け手側からしたら、マイナス意見をぶつけられているようなもの。そのためモチベーションは一気に急降下、作業効率もガクッと下がります。そして締切だけが着実に迫ってくる…。

もう誰にもこんな思いはして欲しくない!世の中のバッドコミュニケーションを消し去りたい!という思いで筆をとりました。この記事を読んでくれた人が、少しでもハッピーなコミュニケーションを取れますように。

良い指示、悪い指示

さっそくですが、具体的にどういった指示や依頼内容であればイラストレーターのやる気を維持し良好な関係を築けるのかを考えてみました。

良い指示

・具体的である

・参考画像などの資料が添付されている

・修正理由がきちんとある

悪い指示

・抽象的な表現

・修正箇所の指定がされていない

・「◯◯な気がします」などの感想で終わっている

気を付けたい点は、曖昧な表現をさけることです。伝えるべきことが正確に伝わる表現にしないと、当然コミュニケーションコストも増えます。

次に、良い指示と悪い指示の具体例です。

○桃がおしりに見えてしまうので先端をとがらせて葉っぱを追加してください

良い指示

良い指示

これだけしっかり指示されていれば、どこを直すべきかすぐにわかります。求められている完成のイメージもしやすいです。

×もっとスタイリッシュにしてください

悪い指示

悪い指示

スタイリッシュという表現が抽象的なため、どんな表現がいいのかと考える必要があり迷ってしまいます。

修正指示は具体的であればあるほどありがたい

イラストレーターに修正指示を出すとき「こんなに細かい部分を指摘して大丈夫かな?」と遠慮してしまう人もいるかもしれません。しかし、よりクオリティの高いものを作るために必要な修正であれば、対応するのがプロです。私も経験上、全体のレイアウトや色の調整はディレクターやデザイナーに見てもらって修正した方がよりよくなったと思うことが多いです。

「このテイストで描いて欲しい」という依頼はNG

ちょっとこればかりは厳しい!というアウトなラインは「この(自分のものとは180度異なる)テイストで描いて欲しい」というものです。なかには対応してくれる人もいるかもしれませんが、どうしてもそれなりの苦痛をともなう作業になってしまいます。イメージをすり合わせていく中で「よりシンプルに」など、自分の絵をベースとしたアレンジであれば対応できます。しかし、大きくテイストが異なる絵を描くというのは作業量が倍になるようなもの。イメージしている絵柄がしっかりあるのなら、それに近いイラストを描く人に依頼するべきです。見積もりよりも工数がかかってしまい、納期に間に合わないというトラブルに発展する可能性も十分にあります。こういった依頼は可能な限り避けてください。

できるだけラフや参考画像を用意してほしい

指示出しってめんどくさいですよね。ですが、「なんかいいかんじにしといて」が通じるのは何度も一緒に仕事をした経験があり、お互いの力量を把握済で、熟年夫婦なみに信頼関係を築いている相手に限ります。少しの時間をひねり出せば、イメージに近い写真やイラストを集めたり、簡単なラフを描くことができます。序盤で指示出しを怠ってしまうとどんどんコミュニケーションコストがかさんでしまうため、伝える努力をあきらめないでください。

四角や丸を描いて物体の指示をしてもらう程度でも大丈夫

ラフの例

「ラフをください」と言われるとハードル高く感じてしまうかもしれませんが、苦手な人は無理に絵を描かなくてもOKです。まずはイメージに近いイラストや写真を探して集めてみてください。ラフやイメージがあるのとないのでは、全体を把握するのにかかる時間が全然違います。なので、初回依頼のときにラフがあるとスムーズに話が進みます。絵を描くことが苦手な人も、そのうちに自分の中でイラストに対する解像度も上がっていき、指示自体がどんどんしやすくなるはずです。

具体的にイメージができていますか?

さて、イラストレーターに依頼する前に確認しておきたいのが自分の中でどれくらい具体的なイメージができているか?というところです。

イラストの要素をざっくり分解しました。

イラストの要素

この中でイメージできているものが多いほど具体的と言えます。具体度によってイラストレーターへの依頼内容が変わってきます。ラフや参考画像を自分で用意できるかもここが影響してきます。

  • 0コ…世界観作りから相談したい
  • 1~3コ…目指したい雰囲気やイメージを伝えることができる
  • 4コ以上…自分の中に明確なイメージがある

具体度が低い方がイラストレーターの工数や、やり取りが必然的に多くなってしまうので余裕を持って依頼できるといいですね。「イラストを使いたい場所は決まっているけど、どんなイラストにするべきかわからない」ということも結構多いのではないでしょうか。効果的な訴求を考えるのは、絵を描くこととはまた別の能力になってきます。具体度が低い場合は、こういった点を含めてあらかじめイラストレーターに依頼の範囲を相談できることが理想です。

A.C.O. Journalのメインビジュアル作成の実例紹介

実際に私がイラストを作成するときの大まかな流れを紹介します。依頼内容によってそれぞれにかかる時間は変わってきますが、まずは全体像をつかんでもらえればと思います。

まず最初に行うのが作成サイズの確認です。解像度とカンバスのサイズを決定します。イラストの用途によって大きく変わる部分で、解像度やサイズが足りないと全て描き直しになってしまうので一番慎重にやっています。

私はいつもラフ作成と配色にかなり時間がかかります。今回は実際にこの記事のメインビジュアルを作成したのですが、自由に描ける分、何を描くべきか悩みました。

その際、最初に決めたものはモチーフです。今回はイラストレーターの記事なのでイラストレーターっぽい登場人物を作成しました。ポーズは何かを目指している、挑戦しようとしている雰囲気を意識し、探索をテーマを設定しました。そこからいくつかの要素を足していき、アウトドアっぽい服装になりました。

ラフ1

次に背景を考えはじめました。よりテーマを伝わりやすくするにはどんな背景がいいのか、線はどんな太さにするか、何色を使うか、など全体のテイストもこの段階で考えます。Pinterestで参考画像を集めて、イメージをどんどん具体的にしていきます。ここでポーズが変わってますね。イラストの記事だとわかりやすくするためペンを強調しました。

ラフ2

背景や構図、モチーフが具体的になったところで線画を作成し着色していきます。今回は頼れるディレクターがいないのでここで全体のバランスを見てレイアウトや色の調整もしちゃいます。

ラフ3

あとは清書して完成です。その際、実際の画面に入れてみて確認もします。今回、制作にかかった時間はおおよそ8時間でした。苦戦したのは背景をどうするかと配色です。A.C.O.は幸いにも周りに相談できる人がたくさんいる環境なので、途中途中アドバイスをもらいながら進めることができました。

制作時間の内訳

ラフ…3h

清書…2h

着色…2h

調整…1h

実例紹介は以上です。これを参考に早めに決めておきたい内容の検討や、修正依頼のタイミングなどいろいろシュミレーションしてみてください。

まとめ

・修正指示を具体的にする

・ラフや参考画像を用意する

・依頼の範囲を決める

たった3つのことを習慣化することで、コミュニケーションコストが大幅に下がり、スムーズに仕事を進めることができます。とまあ、長々と文章を書いてきましたが、結局一番大切なのはお互いを尊重すること。イラストを無理に褒めちぎる必要もないので、どんな仕事にも大切な「ありがとうございます」の一文を忘れないことですね。

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