- 2017.06.27
NO MUSIC, NO FONT
こんにちは。A.C.O.編集部です。学問的・デザイナー向けタイポグラフィの話ではなく、言葉のコミュニケーションをあそぶ「書体と言葉のカンケイ」シリーズです。 私は音楽が好きでいつもビートルズを聴いて仕事をしています。みなさんビートルズのロゴは知ってますか?ビートルズのロゴはBootleというフォントを使用しています。バンドのロゴは音楽と同じくらい多様です。また、ロゴで使用されるタイポグラフィもさらに様々です。デザイナーとしてバンドのロゴを見ることは音楽を聞くのと同じくらい楽しみだったりします。
そこでさまざまなバンドやソロ・アーティストのロゴとタイポグラフィについてリサーチしてみました。音楽ジャンルごとに発見があったのでレポートしたいと思います。
Do It Yourself の精神がロゴにも現れる
パンクの特徴として、シンプルで力強いコード進行、政治的な歌詞が挙げられます。” Do It Yourself “ ーーすべて自分達でやる精神のもと、レコードの制作からイベント運営までメンバーが自分たちで行ったことが多いのも特徴です。
“Do It Yourself “ の精神はバンドのロゴにも現れます。パンクバンドのロゴには文字を切り抜いて貼り付けるステンシルスタイルが多様されています。この手作りの美学は政治的メッセージを広めるための反乱行為のための共通のツールとして流行いたしました。
フォントにはFranklin Gothic, Gill Kayo, ITC FRANKLIN G などがよく使われています。一般的なフォントで、新聞や雑誌などでよく使用されています。おそらくステンシルスタイルとするときに素材として用いた新聞で多く使われていたからではないかと考えられます。
ファンと密接な関係をシグネチャースタイルで表現
Soft Rockの音楽は美しいメロディやコーラスを持つポピュラーミュージックですが、国内外で解釈が異なります。この記事は音楽のジャンルについて特定する意図はありませんので、テイラースイフトがSoft Rockにカテゴライズされてても怒らないでください。(笑)
1970年代のSoft Rockバンドは、スクリプトやカリグラフィーのフォントを好んでいたようです。 また多くのアーティストがシグネチャースタイルを採用しているものもあります。シグネチャーとはサインのこと。ファンとより密接で、個人的なつながりを強化するのに効果的です。 その流れは時代を超えても受け継がれているようですね。
力強く過激な音楽性がロゴにも現れる
Heavy Metalはエレクトリック・ギターの歪んだ音を強調した、過激なもの。と、wikipediaに記載されています。この音楽のジャンルの特徴はバンドのロゴに強く影響していました。
Heavy Metalバンドのロゴに多く使われいるフォントは、MHF Headbanger, Glam Rock, Metalista, Destroyer があります。METALLICAのロゴはその両端をまるで悪魔の角のように加工しています。
LINKIN PARKをHeavy Metalにカテゴライズするかは編集部内でももめたのですが、ロゴの特徴がHeavy Metal寄りだったのでこちらに掲載しました。最近の彼らの音楽にはメタル要素が少ないですね。
ラップトップで制作するアーティストたちは未来的なフォントを好む
Electro Musicはシンセサイザーを用いた音色と、ドラムマシンを使用した踊るためのリズムが特徴です。今回は主に2010年代に活躍するアーティストを中心にリサーチしました。
ロゴはElectro, Vow, Dual, UNIcod Sansなど、未来的なサンセリフの書体を使用するものが多いです。2000年代にMicrosoftやアップルがサンセリフの書体へとロゴを変更いたしました。彼らの多くはラップトップで作曲を行います。その影響かもしれませんね。
ちなみにSkillrexはもともとHeavy Metalでキャリアをスタートいたしました。ロゴにもその名残がすこし残っているように思います。
音楽性をロゴで表現するために、書体やスタイルが選ばれている。
フォントが持つイメージ、タイプグラフィーが与えるイメージにはとても大きなものがあります。METALLICAはそのロゴの特徴から彼らの音楽をしらない人でも、荒々しい音楽のバンドなのかなと想像することができます。たとえば仮にMETALLICAのロゴをテイラースイフトと同じフォントのスタイルでデザインされていたらどうでしょうか。とてもじゃないけれどあの轟音を放つバンドとは思えませんね。
時代や国によっても違いますがこうしてリサーチしてみると、そのバンドのアイデンティティや、音楽ジャンルに好まれるスタイルや頻繁に使用されるスタイルに気付きます。バンドの伝えたいメッセージを、届けたいターゲットに聞いてもらうためにロゴはどうしたらよいか。ロゴができるときは、そのバンドの音楽性を表現できる書体やスタイルが選ばれるので、考え方や方向性に共通点があるのかもしれません。
References
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by Monstarlab Design Journal
Monstarlab Design Journal 編集部です。 モンスターラボデザインチームのデザインナレッジとカルチャーを発信していきます。
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