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AIを「みんなの道具」に — 「AI×Designサークル」の取り組み

サークルという有志の集まり

こんにちは、デザイナーの松原です。モンスターラボのデザインチームには、「AI×Designサークル」という有志のサークルがあります。発足したのは2025年の初め。誰かが号令をかけたわけではなく、「AIによってデザインの仕事が、もうすでに変わり始めている」という現場の実感から活動が始まりました。

だからこそ、私たちが掲げているのは派手な目標ではありません。これから大きくなっていくであろう変化を見据えながら、現実的に、ちょっとずつ、無理のない範囲で、デザインチーム全体のAI活用レベルを底上げしていく─それがAI×Designサークルの役割です。私もそのメンバーの一人として活動しています。

メンバーの得意分野はさまざまで、新しいツールを試すのが好きな人もいれば、それを日々の業務にうまく落とし込む人もいます。「誰か一人がすごい」のではなく、それぞれの強みを持ち寄ってチーム全体で少しずつできることを増やしていく、そんなフラットな集まりです。

まだ手探りなところもたくさんありますが、今回は私たちが普段やっていることと、その裏にある考え方をできるだけ等身大でお伝えできればと思います。

道具が変わると、仕事が変わる

AIを使うことで何が変わったのか。いちばん実感しやすいのは、リサーチからプロトタイプを形にするまでの時間が、圧倒的に短くなったことです。

メンバーの中には、AIで作った「動くプロトタイプ」を手元に、クライアントと要件定義を進める人も出てきました。これまで静止画でしか見せられなかったものが、実際に触って、動かせる。すると、「ここはこう操作したい」「この遷移は違う」といった話がその場で生まれ、議論が一気に具体的になります。作るスピードが上がっただけではなく、クライアントとの対話や、デザインを検討するプロセスそのものが変わり始めていると感じています。

そんな中で私たちが大切にしているのは、「AIに何を任せ、人はどこに時間を使うのか」を考えることです。

繰り返しの作業や、たたき台を作る工程はAIに任せる。そのぶん、人は判断や体験設計、対話に時間を使う。AIはあくまでHow(手段)であり、良い体験を届けるためにどう使うかを考えるのはデザイナーです。新しいツールに振り回されるのではなく、自分たちの仕事をより良くするために使う。そんな感覚を、サークルの中でも大切にしています。

取り組み① 手を動かして学ぶ場を作る

新しいツールは、紹介されただけではなかなか日々の仕事に定着しません。そこで私たちは、気軽に参加できるAI交流会から、テーマを決めて取り組む勉強会まで、実際に手を動かして学ぶ場を作ることを活動の柱にしています。

直近で開催したのが、Claude Skillsの作成ワークショップです。オンラインとオフラインを合わせて20名ほどが集まり、にぎやかな会になりました。

Skillsとは、よく使う作業の手順をAIに覚えさせて再利用する仕組みです。便利な一方で、いざ作るとなると「自分の何を仕組み化すればいいのか」で手が止まりがちです。

そこで今回は、少し発想を変えて、「私の仕事で、Skillsにするなら何がいい?」とClaudeに聞いてみるところから始めました。普段のやり取りから、私たちがどんな作業をしているのかを知っているAIからの提案は的確です。「Figmaのデザインから仕様書を起こすSkills」や、「UXリサーチの結果とKGIをつなぐデータアナリストのようなSkills」など、それぞれが自分の業務に直結するものを考え、実際に手を動かして作っていきました。

面白かったのが、「Claudeに自分の出力を自己批評させると精度が上がる」といった、ちょっとしたコツまで自然と参加者同士で共有されていったことです。こうした「やってみたからこそ出てくる知恵」を共有できることも、ワークショップの大きな意味だと感じています。

取り組み② ナレッジを、個人で終わらせない

せっかく得た知識や工夫も、その人だけが知っている状態では、チームとしての力にはなりません。そこで私たちは、学びを少しずつ残し、共有する仕組みを作っています。

日々のやり取りや振り返りはSlackや議事録に残し、プロセスやTipsはNotionにドキュメントとしてまとめる。そして特に効果があったノウハウは、Skillsや設定ファイル(CLAUDE.md)など、「AIが再利用できる形」にまで落とし込みます。

良いプロンプトを人づてに共有するだけではなく、ファイルとして残すことで、チームの誰が使っても同じ品質が出る。振り返りのたびに少しずつアップデートして、チームで使える形にしていく。一見すると地味な作業ですが、こうした積み重ねが、AIとの協業の精度を少しずつ高めてくれていると感じます。

取り組み③ 開発チームと、近い場所で

モンスターラボならではの特徴のひとつが、デザインチームと開発を担うテックチームの距離が近いことです。

その象徴が、両チームの合同勉強会です。テックチームではAIの導入が先行して進んでおり、そこで得られた知見を共有してもらいながら、「デザインとテックでどう連携すればAIの恩恵を最大化できるか」を一緒に考えています。

実際に話してみると、デザイナーだけでは気づきにくかった技術的な制約や、逆にテック側には伝わりにくいデザインプロセス上の課題など、その場で少しずつ具体的に整理されていきます。

デザイナーだけのテーマとして抱え込まず、職種を越えて一緒に考えることで、AIを活用できる範囲も少しずつ広がってきています。

私たちが大切にしている文化

ここまで紹介した活動には、いくつか共通して大切にしていることがあります。

ひとつは、「稼働を増やすのではなく、価値を上げる」こと。長く働いて量をこなすのではなく、AIに任せられるところは任せ、人にしかできない判断や対話に時間を使う。

もうひとつは、「学びを抱え込まず、発信する」こと。社内で共有するだけでなく、ウェビナーに登壇するメンバーもいますし、この記事もそのひとつです。社外に発信することで、自分たちの理解もより深まります。

そして何より大切にしているのが、新しいものを面白がれる空気です。「試してみたけど、うまくいかなかった」「思ったより使えなかった」を正直に言えて、失敗も共有できる。その心理的安全性が、活動をいちばん下から支えています。

さいごに

AIはゴールではなく、道具です。大事なのは、それをチームの文化に変えていくことです。

AIを使うことが特別なことではなく、「ちょっと試してみよう」と気軽に手を伸ばせる。そんな状態が、デザインチームの日常になっていけばいいなと思っています。誰かの小さな発見や工夫が、また別の誰かの仕事を変えていく。AIが「一部の人が使うもの」ではなく、「みんなの道具」になっていくことが、私たちの目指すところです。

もしこの空気を「いいな」と感じてもらえたなら、とても嬉しいです。新しい道具を一緒に面白がり、知見を持ち寄れる仲間を、私たちは募集しています。

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by Daiki Matsubara

UI/UXデザイナー、プロダクトストラテジーチーム 。Web系の事業会社へ就職しUIデザイナーとして勤務。サービスの改善、リニューアルを経験した後、2019年、モンスターラボに入社。様々な業界のプロジェクトに幅広く携わる。

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