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デザイナー1年目、業務から学んだコミュニケーションのコツ

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こんにちは、デザイナーの芳武です。2019年の夏にA.C.O.に入社してから、早くも1年が経ちました。振り返ってみると、入社当初は「アサイン?リソース??」「ワイヤーフレームってなんですか?」というぐらい本当に何もわからなかったのですが、幸いにもA.C.O.のアットホームな環境と頼れる先輩たち、そして多くの案件に携わる機会にも恵まれ、なんとか今にいたります。

悩みの尽きない1年間だった

この1年間は、デザインスキルや仕事の進め方など、新しく見聞きすることに一喜一憂していました。特に一番悩んだことは、メンバーやクライアントとのコミュニケーションの取り方でした。

思い返してみると、個人的に人と話すこと自体は好きなのですが、仕事においてのコミュニケーションのコツを理解できていなかったことが原因だったようです。

今回はそんな1年目を振り返りながら、仕事のコミュニケーションにおける、デザイナーとしての気づきや、学びなどをご紹介していきたいと思います。これからデザイナーを目指そうという方や、未経験でデザイナーになった方などのお役に立てると嬉しいです。

① 自分の視点を伝える

まず未経験だからという理由で「自分よりも人の方が絶対知っているから、基本的に同意するスタイルになってしまう。」という悩みがつきまといました。何か思ったことがあったとしても、「感覚的になんとなく違うと思います」ということしか言えない。それなら話の腰を折るようなことはしないでおこうと何度も思うことがあったのです。

しかしある日、そんなスタンスでいる中で先輩の一言にハッとさせられることになります。 「経験とか関係ないでしょ。言わなきゃわかんないよ。」

A.C.O.のPlaybookの中には「Take a chance」という言葉が掲げられています。「言ってみよう、やってみよう」が文化として根付いている中、当初の自信がなく、考えを言語化しないスタンスでいた自分は周りからよくわからない人だなと思われていたかもしれません。

結局何にこだわることができるのか、どこに視点があるのかを伝えないと、指示する側も判断がしづらく、その人が向いてる方向性とは全く違った作業を任せてしまうことに繋がります。特に、「考えを伝える・提案する」ということはデザイナーの大切な役割の一つです。黙って同意するのではなく、ちゃんと言葉を選んで、自分の視点を伝えようとすることから逃げてはいけないということを強く意識づけられました。

② 手を動かしてから質問する

これはやってしまう方も多いかと思うのですが、分からないことが多いと、ついつい知っている人にすぐ頼ってしまっていました。

しかし、確認してもらう時間にはコストもかかっているので、聞き方も意識すべきですよね。漠然と「わからないんです、教えてください」ではなく、いったん自分の手を動かし、やってみたものをベースとして「自分はここをこう考えたのですが、どう思いますか?」と言える状態にすることが、建設的でスムーズな議論につながります。

一方で、質問すること自体は非常に重要です。「できました、見てください」とデザインを見せても「全然違う方向に進んでいるよ!」という場合もあるので、未完成でも、少しでも悩んでいたり、進むべき方向がわからないときはさっさと質問して「悩む」を「判断する」に切り替えることが必要です。

その際は、質問したい人の横に座って画面を見せる機会を増やす、リモートなら事前にペアワークの時間をとり、画面共有で説明するなど、工夫をしながらお互いのストレスを減らすことを意識するのが良いでしょう。

③ アイデア出しの認識を合わせる

仕事にも慣れ、少しずつ話せるようになってきた頃のこと。会議などの場でアイデア発散が必要なとき、「自分の中で言いたいことはあるけれど、的外れなことを言ってしまっているのではないか」、「思考が脱線していないだろうか」ということが気になりうまく話せない…といった悩みに直面しました。

これは場慣れが必要なことなのかもしれませんが、悩みながら先輩を観察していて分かったこともありました。

それは「アイデア出しの定義を把握する」ということです。何を考えるべきか判断がつかない場合、早い段階で「突飛なアイデアを出すためなのか」、「再現性を考慮したアイデアを出すためなのか」といったその場の目的を確認し、認識を合わせることで、上記のような悩みを解決できると分かりました。

思いつきの良さげなアイデアを蔑ろにするわけではなく、大事なのは課題とセットでアイデア出しをすることにあります。アイデアが先にポッと出ても、出所は頭のどこかで引っかかっている課題感で、ロジックはあるけど言語化がされていないだけかもしれません。そんなときは、なぜそのアイデアが出たのか、課題をもとに自分の思考をたどっていくと、説得力のあるアイデアになっていきます。

④ いいものを作るために自ら動く

デザイナーはユーザーの気持ちや行動を考えながら、細部を検討していきます。すると、それまでの会議などの場では気づけなかった制作上の”穴”が見えて来ることがあり、その中には一見「これはデザイナーが考えることなのか?」というような内容のものもあります。

しかしそんなとき、デザイナーのスコープであるデザインのみに注力するのでは、結果的にユーザーにとって使いにくいものを生み出してしまうこともあります。

ものづくりとしての”全体”を見たときに引っかかる箇所がありそうだと気づいたら、ときには積極的にデザイナーがコミュニケーションをとり、プロジェクトマネージャーと並走し、スケジュールや議論の機会を調整していくことも必要です。

最後に

今回はデザイナー視点でのコミュニケーションの取り方について、未経験から入社した1年間で気づいたことを紹介しました。

入社するまで、デザイナーは職能上「良いデザインを作れる」ことが求められるのだとぼんやり思っていました。ですが、実際に仕事を通してみて、今はその”良いデザイン”を実現するためにクライアントやユーザー、制作チームなど複数にわたるステークホルダーに対して「作ったデザインがどう良いのか」「どうすれば良いものになるか」ということを伝達させる能力こそが求められるのだと感じています。

そのためにも、デザイナーは「言葉選び」や「声のトーン」、「話す順番」、「見せ方」など、いわゆるプレゼン能力を、普段のコミュニケーションから意識しておくことが大切だといえるでしょう。

難しいことではありますが、簡単に身につく能力ではないからこそ、現場では大きな武器となること間違いなしなので、目を背けず、少しずつ身につけていきたいと思います。

仕事のしかたをほとんど何も知らず、質問だらけだった自分に多くのチャンスを与えてくれたA.C.O.の環境と先輩方には、本当に感謝しています。 今後はデザイナーとして自走し、さらなるチャレンジを求められる機会が増えていくと思いますが、初心を忘れず、手と頭をフル活用して結果につなげていきたいと思います。

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by Hisashi Yoshitake

静岡文化芸術大学デザイン学部卒業。社会課題と先端技術への関心から、科学系の有志団体に所属。テクノロジーの可能性や面白さを伝えるための制作・展示やワークショップ等の活動を経て、A.C.O.に入社。

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