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できているつもりで、意外とできていなかった。 損しないためのコミュニケーション。

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こんにちは、デザイナーの手塚です。私たちは、日々仕事をする中で、コミュニケーションをしています。クライアントと良い関係を築けて、成果にも満足いただけるプロジェクトもあれば、なんだか話が堂々めぐりで、丁寧に仕事をしても手応えのないプロジェクトもあります。デザイン成果物としての仕事の成果にそこまで差はなくても、クライアントに満足頂けたかどうかの体感には差があります。

この差はなんなのでしょうか。

理由は色々あると思いますが、様々な会議に参加する中で、コミュニケーションがその1つではないかと考えました。

コミュニケーションは知覚

あるとき、同時期に2つのプロジェクトに参加していました。1つは複雑で難しいプロジェクトでした。成果物のクオリティは特別高い訳ではありませんでしたが、全体として納得頂けた様子で、会議は円満に進行していました。もう一方のプロジェクトは、ベテランのデザイナーで構成され、間違いないクオリティのアウトプットをするチームでしたが、会議では毎回意見の相違が起きて、時間を消費していました。

これらの違いは何かと考えた時に、それはコミュニケーションにあるように感じました。

せっかくたくさん考えて作ったのに、説明が至らずそれが伝わっていない。その結果、こちらが最善だと考えるプランが選択されず、うまく進行しないことがありました。伝わらないということは、やっていないことと同じようなことになります。

「無人の山中で木が倒れたとき、音はするか」

マネジメント[エッセンシャル板]より


答えは「音はしない。」になります。木が倒れたときにその音波は発生しているだろうが、その音波を聞いている人はだれも居ない。音波は人が聞いて初めて音になるということです。良いアイデア、提案も伝わらなければ、無いのと同じです。コミュニケーションを成立させるものは受け手です。話をしている側は音波を発しているだけ。聞く人に伝わらなければコミュニケーションは成立しません。

言ったからといって、伝わっているとは限らない

言った、言わないで意見が食い違う場面に遭遇したことがあります。そのときのコミュニケーションのすれ違いの原因は、双方が相手の理解度を確認していなかったということでした。

自分から相手に「伝わる」までには段階があります。相手に対して伝えたからといって、伝わっているとは限らない。

①自分が発信する

目の前の相手に対して、話しかけて伝えているが聞いていない状態。 またはチャットやメールなどで、送信しているが読んでいない状態。 相手が読んで理解したかどうかを確認する必要がある。読んだ相手に返信やアクションを依頼することで確認できる。

②相手が聞いている

聞いている、読んでいるけれど、こちらの意図を正しく理解したとは限らない。間違った理解をしているかもしれない。

③相手が理解する

言っていることを理解しているけれど、賛成しているかはわからない。 同意しかねると思っているかもしれない。

④相手が納得する

言っていることを理解し、納得しているが、強く賛同を得られていないので、自分ごととして行動してくれるとは限らない。

⑤相手が賛同する

強く同意して、自ら積極的に行動する。

コミュニケーションのキャッチボールが噛み合わずにトラブルになる場合は、この伝わりの段階が一致していないように思います。話し手としては、きちんと資料にまとめて、丁寧に説明したら伝わっているはずだと考えますが、聞き手側は、なぜその話をしているのか前提が分からないところの上に、理論を乗せていかれても、ハテナしかアタマに浮かんでいかなったりします。

私たちはSlackなどのコミュニケーションツールで連絡を取り合うことも多いです。メッセージを送ったからといって、正しく理解して納得してくれているとは限らないことを意識する必要があります。読んだ側も、読んだことをリアクションで返したり、理解度や納得度を返すことで伝わりのズレを回避できます。

話を始める前に、相手の理解度を確認してから、説明を始めることも大事だと感じています。

理解のズレ無くコミュニケーションをするためには

日々の仕事の中で、私がコミュニケーションについて実践を意識していることを挙げていきます。

結論から話す

なかなか本題に入らずにだらだらと話してしまい、本来話したかったことをいざ話し始めると、時間が足りなくなることがあります。 「ああなって、こうなって、あれとこれがそうなって、その結果、こうなります。」という話し方では、何が言いたいのか最後まで分かりません。 聞いている側も、本題までが長すぎて、それまで話していた話はなんだったのかと思うでしょう。

まず結論から話す。「結論、こうなります。なぜならば、あれがこうなるから…」と話したほうが、短い時間で相手に言いたいことを伝えることができます。

PREP法という型

はじめに結論を言い、その理由を説明して、例えばの事例を見せたうえで、また結論に戻ってくるという会話の構成です。

①POINT:結論
②REASON:理由
③EXAMPLE:事例
④POINT:結論に戻る

私はこのPREP法を普段から意識して話すようにしています。相手に意見が伝わった手応えを感じられますし、事前に伝えることを整理して考える習慣がつきます。しかし、油断するとずっこけるほどグダグダで失敗するときもあります。 それは会話の用意ができていないときです。

何を決めたいのかを決めておく

用意ができていないまま始まった会議はうまくいきません。 結論が大事なのに、どんな結論を出したい会議なのか決まっていないからです。 どんな会議でもアジェンダが必要です。 実は社会人になってかなり長いことアジェンダなしの会議に違和感を感じていませんでした。これでは時間ばかりかかって内容の薄い打合せになってしまいます。 どんな結論を出したい会議なのか、イメージしてアジェンダを考えます。 その結論があれば、次に進めるのか。それはどうやって決めるのか。時間配分はどうするのか。会議は結論から逆算してアジェンダを設計する必要があります。

ゼロから話す

クライアントが複数人居て、私が作ったものについて説明する会議がありました。そのうち数名と、会議の前に説明の順番を入れ替えるという話になり、私は了解しました。その後、会議が始まり、私は説明を進めました。

しばらくすると、あるクライアントが「何の話をしているのか全然わからない!」と、混乱してしまいました。私はてっきり、説明の順番を入れ替える話は共有されているものだと思っていたのですが、会議参加メンバー全体に伝わっていなかったのです。

打合せの最初に事の経緯をゼロから話すべきでした。自分では当然わかりきった常識だと思っても、相手も同じとは限りません。知らないことや知らされていないことの上に会話しても話が積み上がりません。相手は何も知らないという前提で話すという、ほんのちょっとしたこと。「こういう経緯のため、説明の順番を変えます」と最初にいうだけで、解消されるはずです。

抽象と具体

相手が話す具体的な内容を抽象化しながら聞くことができれば、俯瞰することでより本質を発見したり、ムダな情報が無くなることで要点を応用できたりします。それが理解するということだと考えています。

同じ業界、同じ会社、同じプロジェクトで仕事をしていても、立場や役割によって見ている世界が違ってきます。組織全体の事を考え、数年後の計画を立てる人もいれば、目の前のやるべきタスクを細分化し、せっせとこなす人もいます。具体と抽象の行き来を意識し、相手と同じ視点に立てるようになると、コミュニケーションが円滑になると思います。

正論ではなく理解に努める

あるプロジェクトで、ご提案に納得いただけず、合意形成が難航したことがありました。我々はなんとか説得しようと、毎回スキのない資料を作るのに時間をかけることになり、会議は揚げ足の取り合いのようになりました。 本質ではない話で会議は長引き、本題についての会話が減っていきました。

プロジェクトを終え、振り返りの場で聞いてみると、提案内容そのものに不満があったのではなく、我々が抜けた後の進行が不安だったという事が分かりました。

正論をぶつけても反感を買うだけで何も良いことはありません。攻撃されていると感じると、人は反論したくなります。口論で勝っても、仕事では負けです。

議論の勝ち負けではなく、その反応の奥にある気持ちの理解に努め、本来解決すべき課題と戦うべきです。

まとめ:コミュニケーションする意味

クライアントは我々に相談しています。我々もクライアントの課題解決にコミットする関係性でありたいです。クライアントが「相談して良かった」と思うのは、正しい答えを教えてもらったときではなく、一緒に考えてくれて、一緒に答えにたどり着いたときではないかと思います。

一緒に考えを掘り下げ一丸となることで、ひとりでは思いつかない考えに辿り着けることがコミュニーケーションを取る理由なのだと思います。

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by Takaaki Tezuka

多摩美術大学 情報デザイン学科卒業。デザイン制作会社のIT部門にてデザイナー/ディレクター、広告代理店のアートディレクター業務を経てモンスターラボ入社。ディレクターとして要件定義、アプリ設計を担当したのち、デザイナーとして活動中。

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