- 2015.09.11
みんなでまるっと1日ワークショップ
A.C.O.では年に2回、パートナー全員が参加するワークショップを行なっています。1日まるっと業務をお休みして開催する社内の大きなイベントです。でもなんでわざわざ業務を止めてまで? と思うかもしれません。忙しい時期に重なるかもしれないし、準備や調整も大変です…。
社内でワークショップをする目的とはなんでしょうか。
このWORKSHOPのコーナーは、社内でやってみた事例の紹介やワークショップのプログラムについて考えたりしてみます。
隣の人を知る
社内ワークショップの目的として大きいのは「近くにいる人のことをもっと知る」ことです。
お互いをよく知ることで、より強いチームを作ることができます。だから1日という長い時間、役割やプロジェクトの範囲を超えてアクティビティに取り組んだり、自分をどんどんアピールしよう! というのがA.C.O.社内ワークショップの一番の目的なのです。普段フリーランスとして一緒にお仕事をしている、プロデューサー・ディレクター・コピーライター・エンジニアなど外部パートナーの方々にも参加いただき、違う分野からの刺激を受ける社内外の交流の場にもなっています。
私は、今年から社内ワークショップの企画から実践までを担当しています。トライしていることは、オリジナルのプログラムを企画・設計すること。そのときの問題やステップアップしたいことをとりあげて、プログラムを考えています。
まずは、実践した社内ワークショップの様子をご紹介します。
会議で、人生が変わる。
2015年2月に開催した社内ワークショップでは「会議」をテーマにして企画を行ないました。場所は松陰神社駅の近くにあるTHE FORUM 世田谷。友人から1階のサロンをレンタルもしていることを聞き見学へ。NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の影響で個人的にも吉田松陰ブームだったので、学びの場としてここしかない! と決めました。
いくつかのデータによると、ビジネスパーソンは就業時間の多くを会議に使っているそうです。それも無駄と思える会議にもかなりの時間を費やしているそうです。以下はそのデータの一例です。
- 業務に占める会議の割合は平均15.4%=週の約1日 – NTTデータ経営研究所
- 企業のCEOたちは週の約2日 – London School of Economics
- 会議の約半数は非生産的 – Nancy Koehn
- 無駄な会議があると思う 84% – リクナビ
つまり1年間の約50日が会議時間で、そのうち25日が非生産的だとすると40年間で1000日が無駄になっていることになります。会議の質を高めて無駄を減らすことで自由に使える時間は増え、人生はより良く変わるはず!
こういった観点からこのワークショップでは「会議を変えるためのA.C.O.ルール」を作りました。
まずは、自由に会議を。
まずはなにも指示せず、いつもどおり自由に会議をしてもらいました。議題は「NASAゲーム」と呼ばれる下記のものです。(参考にしたサイト)
ー もし、月で遭難したら ー
あなたの乗った宇宙船が、故障のため月面に緊急着陸しました。母船から約300km離れたあなたの手元にはマッチ箱、酸素ボンベ、パラシュート、磁気コンパス、粉ミルクなど15品があります。生き延びるために必要なものは何か、15品の重要度を順位付けしてください。
これは、NASAの模範解答にどれくらい近いかで評価するゲームで、 3チーム(1チーム5人)にわかれ、制限時間30分で会議をしてもらいました。
このワークで重要なのは答えではなく、進め方です。各チームがどのように会議を進め、解答を決めたのかふりかえりをしてみると…
- 多数決で決めていった
- 個人で考える時間をつくった
- 決定者が自然に決まっていた (普段の仕事の関係性)
- 時間が足りなかった
などの声があがりました。
これにより、現状の会議の進め方を自分たちで再確認してもらいました。
進行と決定をする「Joker」
次に、私が考えた会議ルール(仮説)を設定し、みんなで検証・改善していきます。今回実践する会議ルールは「Joker」というものです。「進行+決定」を行う担当者をひとり選び、その役割を「Joker」と呼びます。「Joker」のミッションは、1.目的をつくる 2.盛り上げる 3.まとめる 4.成果を発表する、の計4つです。
このJokerを使って会議を進めてもらいます。
会議のテーマは「モテる人になる条件」。各チームのJokerを任命し、制限時間は30分、成果は模造紙にまとめることを伝えて会議を始めます。
Jokerを見ていると 「はじめに進行表を作って時間通りに進める」「個人で考える時間をつくり、それぞれの考えを発表して、みんなでブレストしてまとめる」「みんなでブレストしながらポストイットに書き出してみる」などそれぞれの方法で会議を進めていました。
30分経過し会議が終わると、Jokerに成果を発表してもらいます。
発表の後はみんなでふりかえります。Jokerはミッションを達成できたのか? 難しかったことは何かなどをチームに聞きます。その中では「目的をつくるとは具体的には何をする?」という意見がでてきたので、このテーマについてもその場で話し合いました。
続けて、「2020年のWeb業界はどうなっているか?」というテーマで3つ目の会議を行ないました。みんな前の会議の経験を経て進めている様子がみえました。同様に発表の後はまたみんなでふりかえりをします。「盛り上げることはまわりの人がやるので、JokerはしなくてもOK」というルールの改善ができました。
進行役「Queen」と決定役「King」に分けて人数の多い会議で成果を出す
最後の会議は「A.C.O.の新規事業企画」という大きなテーマで行ないました。2チーム(1チーム7人)に分かれて、成果を競います。
チームの人数が多くなるので、Jokerの役割を2つにわけ、進行をする人を「Queen」決定する人を「King」として任命します。Kingのミッションは成果を発表すること。Queenのミッションは、目的をつくる・盛り上げる・まとめるの3つです。
2チームのKingが成果を発表します。
このように、全部で4つの会議を実践しました。
会議1「月で遭難したら」
会議2「モテる人になる条件」
会議3「2020年のWeb業界はどうなっているか?」
会議4「ACOの新規事業企画」
ここで得られたことを、ワークショップ後のみんなの感想というかたちでいくつか紹介します。
- 会議が楽しくなった
- いままで会議のことを意識したことがなかったが俯瞰して考えることができた
- はじめはルールがわからなかったが、やっていくうちに理解していった
- Queenは個別に対応していくスキルも考えられるのではないか
今回のワークショップの大きな狙いは、「ルールを浸透させる」ことにありました。
会議を繰り返すことでみんながルールを理解し、自分たちで改善していくことで自分たちが使えるルールをつくる。明日からの仕事で活かしていくことをイメージしてワークショップを企画しています。
このワークショップで使った資料はSlideShareにアップしています。
社内だからできること
体験の反応が素直にわかり、実験的なこともできるのは「社内だからできること」。 社内の目は一番厳しいなと思います。面白くないものは面白くないとはっきり言われますし、いいものはとっても褒めてくれる。なんでもやってみていいよという自由さとほどよい緊張感があります。
私はA.C.O.で設計を担当しています。リサーチして、整理して、企画して、仮説を立てて、シミュレーションして、プロトタイプ作って、問題みつけて、ブラッシュアップして。みたいなプロセスとワークショップを設計することは似ている。だから面白さを感じるのかもしれないです。
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by Natsu Kawakita
静岡大学情報学部卒業。情報科学芸術大学院大学(IAMAS) メディア表現研究科修士課程修了。作品制作・展示活動、広告制作会社勤務を経て、現在に至る。UXデザイン、情報設計担当。UX/IA部マネージャー。
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