- 2020.08.31
こんにちは、デザイナーの小林です。私は日頃から、映画、モーショングラフィックや短編アニメーションなどの映像作品から多くの影響を得ています。特に映画は、作品のストーリー、背景に使われるインテリア、登場人物のキャラクターや時代背景など、日々のデザインワークに直接繋がる刺激が多く、毎週違う映画を見るようにしています。今回は、そんな影響を与えてくれるオススメの映画作品をA.C.O.とモンスター・ラボのデザイナーが紹介します。それぞれのコメントと合わせてお楽しみください。
1.ピノキオ
僕のおすすめする映画は嘘をつくと鼻が伸びてしまうことで有名な物語の『ピノキオ』です。作品中ではクリケット(コオロギ)が人間が使うサイズのマッチ箱をベッドにして眠るシーンがあったり、南京錠の中に潜り込んで鍵を開けようとするシーンがあったりします。コオロギのサイズ感ならではの可能性が詰まっているところをみると、日常的に使っている”身近なもの”にも可能性が秘められているのではないかと考えるきっかけになり、アイデア発散の幅を広げてくれるような気がします。
UX Designer / 石原諒大
2.シュガー・ラッシュ:オンライン
コンピューターゲームの中の世界を舞台にしたディズニー映画『シュガーラッシュ』の2作目。
昔のゲームキャラがインターネットの世界をさまよいながら冒険していくこの映画の見どころはなんと言っても映像化されたインターネット世界です。
回線や通信速度といったインターネットの技術的なことから、「情報を検索する」「ECサイトでオンラインショッピングする」「動画サイトやSNSでバズる」といったインターネット上の体験までもが映像で見事に表現されています。映画館でこの作品を観ながらディズニー・アニメーション・スタジオのイマジネーション力に感服しました。
他にもコンピューターウィルスやダークウェブのようなインターネットの暗い面まで描かれていたり、有名ITサービスが次々登場したりと随所にIT小ネタが散りばめられており、Web・IT界隈の人は特に面白く見ることができると思います。
Information Architect / 長谷川大輔
3.アバター
ジェームズ・キャメロン監督が生み出した名作、『アバター』。
余談ですが、もう公開されてから10年以上経っていることを知り、動揺を隠せません。でも確かに、初めてみたときはまだ高校生だった。
さて、わたしがこの映画を選んだのは、人生で初めて、映像の美しさで衝撃を受けた体験をしたからです!公開してすぐIMAXへ足を運び、その圧倒的美しさ・臨場感に度肝を抜かれました。存在しないはずの世界がリアルに見えすぎて、何度も、その場に自分もいるかのような錯覚を起こしました。色・光・動き・視線・感情・音、その全てがどれをとってもとにかくリアルで、美しく、迫力があり、惹きこまれます。惑星の神秘的で幻想的な世界観を表現するため、ジェームズ・キャメロン監督は当時、最新鋭の技術を搭載した3D撮影システムを使用していたとのこと。日々映画界では技術が向上していると思いますが、わたしが当時受けた衝撃は、10年たった今でも鮮明に覚えているし、今後アバターを超える衝撃を受けるのは難しいのではないかと思っています。
Designer / 御園華佳
4.欲望の翼
デザインに関係ある映画を選ぼうと思ったんですが、全く思いつかなかったので普通に好きな映画を紹介します。『恋する惑星』などで有名なウォン・カーウァイの最初期の作品です。当時の香港の暑くて湿度の高そうな空気感にマッチした映像の質感と、世界中の音楽の意外な組み合わせが驚くほどよく出来ており、ウォン・カーウァイ映画の基本的な構成要素はこの時点でほとんど完成されていたことがわかります。ストーリーはなにより最高に自分勝手な主人公の傍若無人ぶりが見どころ。そんな主人公を前にすると霞んでしまいますが登場人物はみんなそれぞれ自分勝手で自由に生きていており、その姿には勇気が出ます。俳優は香港のトップスターが勢揃いしており、続編を作る予定だったのが俳優たちがあまりに売れすぎてギャラが用意できず作れなかったという逸話もあります。
Designer / 石井宏樹
5.プラダを着た悪魔
私が好きな映画は『プラダを着た悪魔』です。ニューヨークの洒落た雰囲気と、華やかなファッションは、何度観ても高揚します。
同じアン・ハサウェイが主演でファッション業界が舞台の『マイ・インターン』とよく並べられますが、妥協しながらも自分の人生を見つけていく『マイ・インターン』に対して、『プラダを着た悪魔』は1つの譲れないものに対して、色々なものを捨てていくストーリーです。そこには一切の甘さもなく、だからこそ、その譲れないものが最高に輝いて見える。くさくさした時に見直すと前向きになれます(笑)
ビジネス英語の教材としてもオススメです!
Designer / 益田絢子
6.グランド・ブダペスト・ホテル
おしゃれ映画はつまらないと思って観ないのはもったいない。勝手なイメージだけどビジュアル先行の映画って面白くないものが多い。かわいくてお洒落だけど中身がなくて途中で飽きる、これよくあります。だけどこれは大丈夫。安心してください。デザイナーっぽい視点でおすすめする、ドイツ・アメリカ合作で作られたウェス・アンダーソン監督のコメディドラマ。
フレンチポップ系の甘いカラーパレットに東欧のクレイアニメっぽい質感がノスタルジックな世界観を作ってるんだけど、そこに計算された毒っぽさと主人公グスタヴの生々しいセクシーさが混ざっちゃってしつこいくらい濃厚なのに、ストーリーがしっかりあるのと、豪華キャストの存在感と演技力でストーリーにちゃんと入り込める。
作中に出てくるお菓子屋の箱や、本の装丁、新聞記事…無数のグラフィックプロップのタイポグラフィなど悶絶するほどかわいいです。(映画見た人へ→あのMENDL’Sのボックス、タイプフェイスは19世期のフランスの建築にあったものを参考に手書き。最初はグリーン系で作ってたらしい!あのピンク×赤のセット以外信じられない。デザインを担当したアニー・アトキンスはスペルミスしてあとからあの無数の箱に画処理かけてるというから冷や汗でますね)とにかく忙しくて濃厚な1時間40分、観てない方ぜひ。
ちなみに一番好きなのはロビーボーイの帽子の刺繍の”LOBBY BOY”。タイポグラフィが”映画で効いてる”〜って興奮して話が止まりません。
Art Director / 沖山直子
7.ジュブナイル
『ジュブナイル』は2000年の夏休みから2020年(今年!)を繋ぐ少年少女が活躍する日本のSF映画です。
宇宙人の侵略を阻止するために未来から来たロボットと共に戦う内容がコミカルに描かれており、映画公開の小学生当時、読書感想文が書けず漠然と宇宙や未来のことばかり想像していた僕は釘付けになりました。テレビで言葉を覚える宇宙人やPS2のコントローラーで操縦するロボットなど身近にあるものとSFの融合がとてもワクワクし、創作意欲に駆られて本作の主人公同様にガラクタを部屋に持ち込み怒られたことを覚えています。他にも随所に有名なSF作品のオマージュが散りばめられていたり、子供の頃の素直な探究心を思い返してくれる作品です。
Designer / 川上大貴
8.わたしはロランス
枠を造らず、細部にこそ強いこだわりを持ち、独創的な感覚を持った作品に心惹かれます。
『Mommy』や『たかが世界の終わり』など数々の秀作を生み出し、脚光を浴びるグザヴィエ・ドラン監督の第3作目です。
女性になりたい男性とその恋人の10年にわたる愛の物語。主人公やその恋人の心情を、ビジュアルアートや音楽・衣装・画角など様々な視点を用いて私たち観客に訴えかけてきます。特に心の中を写した心象風景は、夢を見ているかのように色彩豊かに幻想的な映像で、切り取りたくなるような場面ばかりです。刺激的な映像を見ているうちに、登場人物の心の痛みや普遍的な愛がスッと心に染み込んでくることは魅了される理由の一つでしょう。ドラン監督の特徴の1つであるカメラと人物の絶妙な距離感や家族の描写にも目が向く魅力がたっぷり詰まった作品です。
Designer / 篠田愛桃
9.Hearts Beat Loud
カッコ良く、刺激的でデザインのインスピレーションになりそうな映画を探すときは、ニューヨークが題材の作品を意識的に選んでいます。ブルックリンが舞台の『Heart Beat Loud』は、レコード店で働く音楽好きのお父さんと医者を目指して勉学に励む娘の2人が、音楽を共同製作していく物語です。この映画の個人的な見所は、ビビットなカラーが効いたアメリカンインテリアや、映画中に登場するアーティストの作品です。主人公のお父さんが店長を務めるレコードショップや自宅の内装は、会社のオフィスや読者の皆さんの自宅部屋を快適な作業スペースに整えていく上で、参考となります。A.C.O.のオフィスにも、応用したいところがありました。もう一つの見所は、ニューヨークを拠点とするアーティスト、Dustin Yellin (ダスティン・イェリン)の作品が登場するシーンです。言葉で表現するのが勿体無いくらい、美しく、神秘的なアートワークが惜しみなく出てきます。実際、登場人物のセリフが頭に入ってこないくらい、見とれてしまいました。この記事で映画の具体的な内容に触れることはできませんでしたが、他にも見所満載の作品なので是非チェックしてみてください。音楽もカッコいいです。
Dustin Yellin : https://dustinyellin.com/
Designer / 小林拓也
まとめ
好きな映画や、気になる映画はありましたか?映画を好きになる理由はさまざまですが、私はデザイナーになってから少し映画作品を見る目が変わったなと思っています。ブランド開発の仕事をしている期間は、映画作品のストーリーや世界観に頭が持っていかれ、プロダクト開発の期間にはビジュアル表現などの細かいディティールに目が行きます。このように、皆さんも少しリラックスしながら、日々の仕事と照らし合わせて映画をご覧になってみてください。もしかしたら、何か新しい発見があるかもしれません。
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by Takuya Kobayashi
法政大学キャリアデザイン学部国際社会学エスノグラフィー専攻。東京デザインプレックス研究所卒業。デザイン担当。デザイン部所属。
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