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よりよいチームを作るための社内ワークショップのつくり方

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このWORKSHOPのコーナーは、社内でやってみた事例の紹介やワークショップのプログラムについて考えたりしています。前回は社内ワークショップを設計する面白さをご紹介しましたが、それに続けて今回は実際にどう設計をしていくのかを見ていきたいと思います。

社内ワークショップの設計プロセスを大きく分けると

  • 1目的を決める
  • 2プログラムをつくる
  • 3シートづくりとシミュレーション

の3段階に分けられます。それぞれ順番に見ていきましょう。

ワークショップの目的を決める

まずはワークショップの核となる「目的」です。ワークショップを通して、参加者が「何を持ち帰るか」を考えて、目的を決めていきます。最初はワークショップの前提条件を整理しましょう。

誰が参加する?
社内の場合すでにお互い知っている人たちです。ただ、プロデューサーやデザイナー、プロジェクトマネージャー、ライター、エンジニアなどポジションが異なり、普段の業務ではあまり一緒にならない人と関わることがあるかもしれません。

何のためのワークショップをする?
丸1日を使うので、社内のみんなが得るものがあるワークショップにしなければなりません。今、取り上げるべきことは何か? みんなが興味のあることは? など、目的を決めるための材料が必要です。

目的のとっかかりとなることを探そう

ワークショップの2ヶ月くらい前から、社内で高めたいスキルや改善したいことを探しはじめます。私の場合は、倉島(CEO)に何か社内で気になってることがあるかを聞いて、”とっかかり”を見つけます。周りの人にどんなことをしたいか聞いたりもします。

「プレゼン力を上げたい」「会議ってもっと良くなると思うんだよね」「ディスカッション活発にしたいな」といった”とっかかり”が見つかったら、ネットや本、他のワークショップなどをリサーチしながら、ワークショップを通して、「参加者が何を持ち帰るのか、そのためにどんなプログラムをするのか」を考えて目的を具体的にします。

社内の風景

社内にはいろんなポジションの人がいる、みんなが興味持つことって?

目的を考えるときは、この2つを特に気をつけています。

— 明日から実践できる身近なことか
ポジションの違う人たちが参加するので、分野が偏らず、それぞれが身近に感じることであれば、得るものが大きいです。

— みんなが興味を持って取り組めることか
自分の興味だけで決めないで、参加者が何を体験すれば満足感を得れるのかを想像します。

目的に沿ってプログラムをつくる

次に、上で決めた目的に合わせたプログラムを作っていきます。ここでは、A.C.O.で過去に行なったワークショップを例に上げ、実際のプログラムをみていきましょう。

事例1:ミーティング改革ワークショップ

「会議の質をあげたい」という”とっかかり”から考えたワークショップの事例です。
目的:会議の質を上げるA.C.O.式会議ルールの検証と改善。
— 会議で仮説のルールを繰り返し実践することで、ルールを自分ごとと捉え、浸透させる。
みんなが持ち帰るものは「A.C.O.式会議ルール」

プログラムの内容を考えるときにヒントになった本がすごい会議ワークブック2014です。はじめは、「すごい会議ワークブック」の内容をワークショップでやってみることを考えていましたが、何か違う考え方がないかと思考錯誤しました。

すごい会議ワークブックの内容は自分たちの会議にあってる?
→自分たちにあったことができないか
→自分たちの会議ルールを作ればよいのでは?
さらに
会議ルールをみんなが共有し、使うために必要なことは?
→ルールを理解すること、身につけること
→繰り返し会議ルールを実践するプログラムにしよう

このように、目的とプログラムの軸が決まりました。

事例2:A.C.O. Talking Boot Camp

「ディスカッションを活発にする」という”とっかかり”から考えたワークショップの事例です。
目的:活発な意見の飛び交うディスカッションをつくる。
そのために、意見力と質問力の筋肉をつけるトレーニングをする。
みんなが持ち帰るものは「早く考えて、話す力」

このワークショップには「もっとディスカッションを活発にしたい」「ディベートをワークショップにできないか」という”とっかかり”がありました。そこで、「ディスカッションを活発にする」ということはどういうことだろうを掘り下げます。

ディスカッションを活発にする
→ディスカッションは何からできてる?
→分解すると、意見と質問からできている
→意見と質問のレベルを上げればディスカッションが活発になるんじゃないか

ここから見えたのは、ディスカッションは「意見力」と「質問力」からできていること。わからないときは情報の塊を分解してみます。自分が理解できる情報まで分解すると問題やキーポイントが何なのかがはっきりします。

意見力・・・ロジカルに自分の考えを説明し、相手を納得させる
質問力・・・内容を理解して、ディスカッションを前に進めるための質問をする

意見力と質問力を鍛えることを目的に設定して、どんなプログラムにするのかポイントを絞ります。

–自分の意見を持っていても出さなくなってしまうのではないか
→発言することが楽しくなるアクティビティにしよう

–ディベートはアクティビティにできる?
→どんなことが身につくのかを整理してみると
・自分の考えを組み立てて伝えること
・相手の話をきちんときいてそれに対して意見を言うこと
・ディスカッションの的を得るような質問をすること
・テーマをドンドンと下に彫り込んで深く考えること
など
→ディベートは、意見と質問の力のトレーニングにできそう。
ただし、ディベートが目的ではないので軽いディベートにする

などをポイントにして、話さなければいけないという感覚がなくなるように、スピード感とゲーム要素をいれることを軸にプログラムをつくりました。

シートづくりとシミュレーション

目的とプログラムの大枠が決まったら、内容や時間割など具体的にワークショップの内容を詰めていきます。

ワークショップ進行表

時間配分や内容を進行表にします。当日雰囲気を見ながら柔軟に対応できます。

最後は、当日使用するワークショップ用のシートをつくって、何度もシミュレーションを繰り返します。

いろいろなテーマでワークショップをやってみる

A.C.O.では、今回紹介した社内イベントの1日ワークショップ以外にも、さまざまな場面でワークショップを活用しています。サイトリニューアルの改善案を全然違う視点から出したいときやコンペのアイデアを集める短時間のワークショップなど、いつもの会議から「今日はちょっとワークショップをやってみよう!」に変えることで、社内のコミュニケーションや考え方に刺激がでます。

自分たちにあったワークショップをつくってみませんか?

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by Natsu Kawakita

静岡大学情報学部卒業。情報科学芸術大学院大学(IAMAS) メディア表現研究科修士課程修了。作品制作・展示活動、広告制作会社勤務を経て、現在に至る。UXデザイン、情報設計担当。UX/IA部マネージャー。

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