- 2023.09.28
こんにちは。モンスターラボの日本拠点で働くUI/UXデザイナーの小林とアメリカ拠点で働くプロダクトデザイナーのSila Eserです。私たちが所属するモンスターラボは世界18の国と地域に展開する日本発のデジタルコンサルティング企業です。コンサルタント・デザイナー・エンジニア等の専門家が結集し、お客さまのDX推進をサポートしています。
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この度、モンスターラボグループのデザイン文化と知見を広める新しいシリーズ「4 Square」を始めました。4 Squareは、世界中のデザイナーから、毎回4名をゲストに迎え、私たちのデザイン文化、視点、考え方を世界と共有するシリーズです。4 Squareという名前は4つの正方形を意味し、モンスターラボのブランドロゴからインスピレーションを得ています。記念すべき第1弾は、ニューヨークオフィスのプロダクトデザインリードJoey Unnold、ロンドンオフィスUXデザイナーのJanelle Kelly、ドバイオフィスのUXデザイナーSelin Sargut、東京オフィスでUXディレクターを務める津山拓郎を迎え、2つの質問に答えてもらいました。
質問
Janelle Kelly ロンドンオフィス UXデザイナー
Q.デザインに役立っている意外な経験・スキルを教えてください。
私はUXデザイナーとして、ヒアリング、コミュニケーション、観察力などのソフトスキルが重要だと思っています。クライアントやエンドユーザーと話をして、彼らが解決しようとしている問題や、なぜそれを解決しようとしているのかを理解し、文章・図解化することは非常に重要です。
私の経験では、最初にこのステップーーつまり、クライアントやチームとの会話を省略してワイヤーフレームやデザインに進んでしまうと、デザインアウトプットの質の低下、さらにはアイディアの採用率を低下させ、結果的に無駄な時間が増加することになります。同じように、デザインのストーリーに周囲を巻き込めるかどうかも大事だと思っています。クライアントの話に耳を傾け、デザインをプレゼンテーションする際にストーリーを語れるかどうかは、デザイナーとして成功するための秘訣ですね。
Q.変化の激しいデザイン業界で、どのように技術を磨き続けていますか?
いくつか回答を挙げてみますね。 日々のプロジェクトワークで同僚から学んだり、グローバルなデザインネットワークに参加して新たな知識・情報を得ています。私が所属するエクスペリエンスチームでは、データ、戦略、テック、クリエイティブを制作するデザインチームとよくコラボレーションしています。このようなコラボレーションはとても刺激的で、私たちが創造する顧客体験の可能性を広げるためにとても重要です。 私たちがデザインする業界や体験設計の対象になる顧客グループに対する継続的なリサーチとデータにより理解を止めないことです。 幸運なことに、ロンドンに住んでいるとショーや音楽ライブ、ギャラリー、美術館、新しい文化などのイベントに無限にアクセスできます。このような環境の下で見かけたものや、体験したイベントなどを、常にスマホにメモして自分の作品に取り入れています。
Selin Sargut ドバイオフィス UXデザイナー
Q.デザインに役立っている意外な経験・スキルを教えてください。
私はディスレクシア(※)ですが、ディスクレシアであることによって、物事を立体的に、そして枠にとらわれずに見ることができるようになりました。物事を分析する自分なりの方法を開発することを学び、創造的に問題にアプローチしています。ディスレクシアは、人生を時に少し難しくするものですが、独自の方法で世界を見ることができ、人々の中で目立つことができるとも教えてくれました。
※ディスクレシア : ディスレクシアは文字の読み書きのみに難しさを感じる状態を指す学習障害(LD)/限局性学習症(SLD)の一つで、読み書き障害や識字障害と呼ばれることもあります。
Q.変化の激しいデザイン業界で、どのように技術を磨き続けていますか?
私はコミュニティの力を信じています。そのため普段から、技術革新を追いかけ、デザインブログを読み、イベントに参加しています。モンスターラボグループのデザイン・コミュニティもその1つです。その成長をサポートするために私も尽力を尽くしています。例えば私の所属するドバイのデザインチームは、中東地域の小さなチームですが、毎週集まり、新しいツールを発見したり、ブレーンストーミングを行ったり、フィードバックを共有したりしています。時には仕事をしたことがない人たちともプロジェクトに取り組み、積極的に新しい発見を得ようとしています。
Takuro Tsuyama 東京オフィス UXディレクター
Q.デザインに役立っている意外な経験・スキルを教えてください。
意外なところだと音楽制作のスキルが役立っているかもしれません。私の場合、音楽を作るときは、まず何かきっかけとなる音を作ってから他の音を足していきますが、そこで現れた変化から次に加える音が決まっていきます。デザインプログラムを書く時も、あるアクションがなされた後に次のアクションが決まっていきます。どちらもプログラムをスキップすると結果が乱暴なものになります。楽器の編成も、どんな役割を用意して、どれくらい稼働してもらうかという考え方にデザインとの共通点があるかもしれません…!
Q.変化の激しいデザイン業界で、どのように技術を磨き続けていますか?
あまり直接にデザインの勉強はせず、哲学や心理学を組織デザインに当てはめてみたり、仏教の唯識からインタラクションのことを考えてみたり、社会学や小説からコンヴィヴィアルな人間中心設計を想ってみたりといったことをします。また、子供のサッカーの試合の審判をやったり、里子の一時保育を受け入れたりと、まず自分では選ばないようなことをやるようにしています。
Joey Unnold ニューヨークオフィス リードプロダクトデザイナー
Q.デザインに役立っている意外な経験・スキルを教えてください。
私は14歳のとき、叔母が経営するダイナーでバスボーイ(後にサーバー)として働き始めました。当時働いていたベッキーズというレストランは、小さいけれども賑やかな街の海沿いに位置しているので、ロブスターマン(※)やシフト勤務者などの働く人たちから海を楽しみにくる観光客までいろんな人が出入りしていました。学期の合間にベッキーズで働いた10年間で、私は多くの人に出会い、サービスを提供しました。
それがデザインとどう関係するのか?実はいろいろあります。自分自身の振る舞い、ニーズ把握能力、行動視点、洗練されたサービスレベルなど、さまざまな違いを持つ多種多様な人々に役立つデザインスキルを学びました。エクスペリエンスをデザインする際には、そのエクスペリエンスを利用する個々の人々を考慮する必要があります。ある体験の「ターゲットユーザー」を考えるとき、ベッキーズでの仕事は、「ロブスターマンのビリー」と「美大生のソフィア」では必要なものがまったく違いますが、どちらも同じ場所に価値を見出す必要があるのです。
幅広い人々への配慮だけでなく、コラボレーションという問題もあります。ベッキーズに入社したとき、まさか、女性の接客を要求して、私には口をきいてくれないロブスターマンに接客しなければならないとは思ってもいませんでした。また、観光客にロブスターの割り方を教えることになるとは思ってもいませんでした(自分では割ったことがなかったのです)。このようなカスタマーサービスへの挑戦は、驚くほどクライアントとのコラボレーションに似ています。せっかく素晴らしい体験を提供しても、お客様が納得してくれなければ、あるいはビジネスとして価値がなければ意味がありません。私はバスボーイとして、自分の考えや戦略を柔軟に変える方法を学びましたが、それはデザインの仕事にも大いに役立っています。
※ロブスターマン : ロブスターの捕獲を仕事にしている人
Q.変化の激しいデザイン業界で、どのように技術を磨き続けていますか?
質問を避けるつもりはありませんが、自分はデザインのプロではないと思っています(笑) それでも、お答えできる限りのことをお話ししますね!
私は大学で映画の美学、技術、経済、社会文化的な側面を勉強しました。映画製作そのものではなく、ストーリーテリングの力と面白さを理解するために、週に20時間、時には全然寝ていない状態で映画を見続けました。そうしてストーリーテリングには脚本やプロットだけでなく、ストーリーを語る環境や形式の要素も同じように重要だと気づきました。
私はパーティーなどで物語を語ることはしませんが、体験やムードを作り上げることで物語を伝えることが好きです。例えば、モンスターラボの場合、個人のストーリーを彩る環境を作ることが大切だと考えています。
私はチームの仕事を面白くするために、観客やユーザーとして出会うストーリーを故意に取り入れるようにしています。他の人がどのように物語を語っているか、どのような形で語っているかを常に観察しています。他の人が使っているツールやプラットフォームでストーリーを語っているのを見たら、それをメモして、自分も同じようなことをやってみようと思います。基本的には他の人の真似をしているわけではありませんが、他の人が築いた経験を参考にして、自分もよりよい仕事ができるようにしています。探求し、理解することで、新しいインスピレーションを得られるからです!
最後に
皆さんはどのような答えをお持ちになりましたか?
体験設計に取り組む4名のエピソードには共通する観点と、同時に個性が見えましたね。私自身、世界中で働くモンスターズから、このような原体験を聞くことが多く、日々刺激をもらっています。別の職種のデザイナーにも同じような質問をぶつけるとどのような答えが返ってくるのか気になりました。今後も4 Squareシリーズを発信していく予定です。
この記事を読んで少しでもモンスターラボに興味を持たれた方は、こちらからご応募ください。
Interviewer
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Takuya Kobayashi
東京オフィスで働くUIUXデザイナー。国内外の案件でプロジェクトに参画している。好きな食べ物はカレー。
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Sila Eser
人間中心設計戦略とデザインリサーチのバックグラウンドを持つニューヨークオフィスのプロダクトデザイナー。トルコ出身で、Parsons School of Designを卒業後、モンスターラボに入社。ズームイン・ズームアウトの視点で詳細設計やシステムレベルの問題を発見・解決や、新しい技術や社会システムのダイナミクスを探求し、豊かな体験を生み出す新しい方法を見つけることに興味がある。
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by Takuya Kobayashi
法政大学キャリアデザイン学部国際社会学エスノグラフィー専攻。東京デザインプレックス研究所卒業。デザイン担当。デザイン部所属。
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