- 2020.07.02
こんにちは! UXデザイナーの石原です。
みなさんは普段どのように学びを得て、どのように仕事で実践していますか?近年は、メディアやSNSでも多くの学びになる情報が公開されていますよね。私自身もさまざまな方の知見をインプットできる貴重な機会なので参考にしています。
ですが、それらを見ているとインプットになるものは多くありますが、実践するために必要な「インプットした学びをアウトプットするまでの過程」について触れられていることがあまりないように感じています。そこで今回は、A.C.O.のUXデザイナーと情報設計のメンバーに「学びをどう自分のものにしているのか」をインタビューして、インプットしてからアウトプットされるまでの過程や実践方法を明らかにしていこうと思います。
私個人としては「ブラックボックス化されているアウトプットに何らかのパターンがあるのではないか」という推測があり、この推測をもとに私自身の経験を踏まえ、分析して紹介していきます。
まずは自分自身を振り返り分析してみる
まずは、私自身のインプットからアウトプットするまでの過程を整理してみました。私は情報をインプットしただけでは自分の引き出しの一つにすることができず、人に質問されたときにパッと説明できないケースが多くあります。
そのため、私はインプットした情報を書き出して整理するように心がけています。そうすることで、自分の中で理解しきれていなかったり辻褄があっていない部分を見つけ出し、理解を深めることができます。学びを自分の引き出しにするために、自分のやり方やインプットを日々整理・改善することが重要だと考えています。
しかしこの方法は、実践する機会と整理する時間が定期的に必要になるため、時間に余裕のあるときでないとなかなか難しいと思います。
じゃあプライベートが多忙な人はどのように学びを得ているのだろうか…。そんな疑問が湧いたので、今回はプライベートが忙しいであろう小さなお子さんのいるメンバーにインタビューしてみました。
Case1:日常で提供されている情報の背景に目を向ける
1人目は、情報設計の曽に話を聞いてみたいと思います。曽には2人のお子さんがいて、仕事と家事育児の両立をしています。そんな多忙な彼は普段どのように学びを得ているのでしょうか。
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Hiroaki So
曽 偉明。UX/IA部所属の情報設計担当。州立大学の建築学部卒業後、語学講師や通訳、ファッション系ウェブメディアの立ち上げ、観光案内事業の立ち上げなどを経て、A.C.O.に入社。台湾系移民。二児の父。
– 曽さんは家庭に費やす時間も多く、他のメンバーのように頻繁に本やセミナーからインプットをすることが難しそうですが。普段どのようにしてインプットをされているのでしょうか?
たしかに私は仕事と家事育児で1日の大半が終わるので、アウトプットのために意識的に何かをインプットをしていることは他のメンバーと比べると少ないと思います。ですが仕事で役立つ学びは日常的に目にする情報からもインプットできると考えています。
– なるほど、例えばどんな場面でインプットができるのですか?
私はスポーツ観戦が好きでよく子供とも一緒にテレビで試合中継を見るのですが、スポーツ中継の画面の情報を分解してみると視聴者が求めている情報が見えてきたりします。
最近だと相撲を見たときに、試合が始まる前の力士名が出てくる画面に視聴者のニーズがよく反映されているなと思いました。そこには力士名だけではなく、その力士の番付、勝敗数、出身地、所属部屋なども表示されているんです。たしかに番付や勝敗数を見ることにより力量差を把握できるし、出身地が自分の出身の国や県だと応援したくなる人も多いはず。相撲を知っている人も知らない人もより楽しむことができますよね。
相撲だけでなく、どのスポーツ中継でもスコア表や前の試合の結果といったさまざまな情報が提供されています。中継を見る人が「どんな情報があればより楽しく中継を見れるのか」という問いに対する考察が画面に反映されているのです。スポーツごとのルールや楽しみ方の違いが、画面情報に現れてくるというのは面白い発見だなと感じますね。
– たしかに面白い気づきですね!他にもあれば教えてください。
そうですね、レゴブロックの説明書もよくできているなと思ったことがあります。うちの子供がレゴの対象年齢よりも少し低い年齢だったとき、説明書を読みながらひとりで約50もの工程を経て完成させたんです。
– すごいですね…
私もちょっと驚きました(笑)
でも実際に説明書を見て納得しました。レゴブロックの説明書には文章による説明がほとんどなく、番号と絵と矢印だけで構成されていたんです。これなら数字が読める子供であれば組み立てることができますよね。
レゴブロックの説明書はターゲットユーザーの年齢層をきちんと理解した上で設計がされている。私も仕事で設計を行う際には意識したい部分です。
– 日常的に目にする情報からもインプットは多く得られるのですね。ありがとうございました!
曽の学習プロセスの考察
インタビューした情報から曽の学習プロセスを紐解いてみましょう。
彼の場合、日常の中で提供されている情報(インプット)を見て、その情報を選定した背景を分析・整理することで、自分の仕事を改めて見つめ直す機会(アウトプット)を作っているのではないかと考えられました。
インプットは自主的に取りにいった学びに目が向きがちですが、日常から得られる情報も捉え方次第ではインプットにもなりえます。我々UXデザイナーや情報設計のようにユーザーの体験を作る仕事をしている人にとってはとくに、日常から得られる情報は絶好のインプット材料なのかもしれません。
Case2:仕事と日常生活から共通の課題を見出す
2人目は、UXデザイナーの大橋に話を聞いてみましょう。大橋にも小さなお子さんがいて仕事と家事育児の両立をしているメンバーの1人です。
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Megumi Ohashi
大橋 恵。UX/IA部所属のUXデザイナー。多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻卒業。採用コンサルティング会社・システム制作会社勤務を経て現在に至る。一児の母。
– 大橋さんは、家事や育児に多忙な中でどのように学びを得ているのでしょうか?
仕事で課題点を見つけたときなどはわりと日常生活の中でも意識的に解決方法を模索しています。そういう意味では普段から学んでいるかもしれないです。
– 日常生活からどんなことが学べるのですか?
私はUXデザイナーとしてワークショップのファシリテーションやクライアントへの提案などを行う機会が多いです。そのため人とのコミュニケーションにまつわる課題を見つけることが多いのですが、コミュニケーションについて日常生活から学べることは多いです。
人とのコミュニケーションって日常生活でも必ずやることなので、普段のコミュニケーションが実践の場になるんです。なので普段のコミュニケーションを通じて色々実験してますね。(笑)
– たしかに、私たちの仕事においてコミュニケーションは重要ですよね。具体的なエピソードがあったら教えてください。
例えば、クライアントにわかりやすく説明するための練習は子供との会話の中で行うことができました。
以前、クライアントによりわかりやすい説明をするために、結論を最初に話すよう普段の会話から意識的に気をつけていたことがありました。すると結論から話すことは子供にも効果的で、「こうしてほしい」と最初にはっきりと伝えることで子供も素直に理解して受け入れてくれることが多かったんです。
そのため特に子供との会話はいい練習機会になったし、結果的にクライアントへの説明力も向上したので一石二鳥でした。
– なるほど、仕事と日常生活で共通の課題を見つけたということですね。ありがとうございました!
大橋の学習プロセスの考察
大橋の学習プロセスを紐解いてみましょう。
今回のケースではまず仕事と日常生活で共通の課題が見つかり、実践機会の多い日常生活側で練習を繰り返します。そして、得た学びを仕事の場でも実践して効果を検証する。効果があるとわかることで自分自身の引き出しになるという流れです。
仕事と日常生活、シーンは違えど共通の課題があることは意外と多いかもしれません。自分の身の回りでも共通の課題がないかどうかを整理することで、日常の中で学びを実践する場を作ることができるかもしれませんね。
日常から得られる学びは大きい
2人にインタビューした結果、インプットした情報を自分の引き出しにしてアウトプットするまでの流れや方法は下記のように各々異なっていました。
- 曽:日常の中から提供されている情報の背景を考える
- 大橋:仕事とプライベートで共通の課題を捉え、練習する
その一方で、曽や大橋に聞いたケースを整理すると2つの共通点がありました。
- 仕事とプライベートを切り分けず、日常の中に課題やインプットの機会を見つけている
- 日常の中に実践の場を作っている
多忙な人ほど日常生活を送りながらも学んでいるということですね。
私たちUXデザイナーや情報設計にとってユーザーの気持ちに寄り添ったり、人と円滑にコミュニケーションを取ることは重要なスキルになります。その性質上、日常生活から学びを得やすいのかもしれませんね。
さて、私自身もこの記事を執筆する中で実践までの方法を言語化してみて整理ができたので、さっそく試してみようと思います。みなさんも参考になることがあればぜひ実践してみてください。
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