- 2020.02.12
はじめに
こんにちは! A.C.O.デザイナーの叶(かのう)です。
皆さんは普段どのように勉強していますか? 本を読む、動画を観る、セミナーに参加する…など、方法はたくさんありますが、その中から自分に合ったやり方を見つけるのは結構大変だったりします。
そこで今回、A.C.O.のデザイナーに普段の勉強方法を教えてもらうことに! たくさん教えてくれたので、前後に分けて紹介しようと思います。
Case1: 実践することを踏まえて勉強する
まずは、先日のDesignShip2019にてライトニングトークにも登壇した、小林さんの勉強方法を紹介します。
ー 今どんなお仕事をしていますか?
コーポレートサイトのデザイン作成、クライアントへのデザイン提案、新規案件のサービスデザインをやっています。ただデザインを提案するだけでなく、デザインを通してどのような価値を届けたいのか、作成する目的をクライアントと共有しながら進めています。
ー 普段、デザインの勉強はどのようにしていますか?
気軽にできる方法だとSNSを活用しています。より広い範囲からインプットしたいので、国内だけでなく海外の有名なデザイナーのTwitterをくまなくチェックしたり、海外で開催されているデザイン関連のイベントの動画を観たりしています。ウェブマガジンも読んでいて、日本のものだとnoteやAXIS、海外のものだとMediumをよく読んでいます。
SNS以外だと、時間を見つけて美術館(21_21など)や本屋(代官山の蔦屋書店など)に行ったり、他分野で活躍している友人と会ったり、イベントに参加したりなど、その場に足を運んで学ぶ機会を持つようにしています。
もちろん、A.C.O.の先輩デザイナーにもアドバイスをもらいます!
ー 勉強する時に意識している事はありますか?
学んだ事を仕事で実践したりナレッジとして共有したりなど、最終的に何かしら形にするようにしています。最近だと、ブランディングの勉強をしながらA.C.O.のバリュー策定に携わりました。
ですが、本当に重要なのは形にするまでのフェーズだと思っています。本や文献を読んでセオリーを学ぶ事はもちろん必要ですが、実践できなければ武器として使えないと思います。というのも、クライアントの要望だったり、あるいは時代背景によっても達成したいゴールは左右されるので、本に書かれているフレームワークをフルセットそのまま使うことはほとんどないんです。なので、覚えた事を状況に合ったやり方に変換できるかが重要だと思います。
ー デザイン以外に勉強していることはありますか?
英語の勉強を続けています。大学で国際社会学を専攻していたのでもともと英語を学ぶ機会は多かったのですが、最近は海外出張のチャンスがあったり、将来はアメリカで仕事をしたいとも思っているので、もっと英語を使いこなせるようになりたいと思っています。
それから、ちょっと趣味の話になってしまうんですが、アメリカに留学したときに出会ったクラフトビールに今でもハマっていて。最近は国内でもクラフトビールが増えていると思いますが…パッケージがどれも可愛いんですよ!
パッケージが可愛いと不思議とより美味しく感じるし、そんなデザインを見ているだけでグラフィックの勉強にもなります。製造工程や造り手の想いも調べるようにしていて、クリエイティブな思考に触れるとすごく刺激になりますし、仕事のヒントにもなる気がするんですよね。
まとめ
学んだことを実務に活かせるかがキモである、というのは本質的な考えでしたね。 広範囲からのインプットというのは一見大変そうでしたが、小林さんのように趣味からも仕事に還元できる部分を見つけることで、習慣化できそうだと感じました。
オススメの本
『A lesson with A G Fronzoni』
– Ester Manitto(2017)
イタリアのグラフィックデザイナーであり、プロダクトデザイナー、または建築家でもあったA・G・フロンゾーニが行った講義の内容をまとめた本です。僕はこの本から「読んだだけでは10%しか覚えられない」という学びを得て、実践を重視するようになりました。文章自体も無駄のないタイポグラフィで組まれていて、とても勉強になるオススメの本です。
Case2: 幅広い分野の教養が歳を重ねるごとに重要になっていく
続いて、当メディアの編集担当でもあり、UIデザインが得意な石井さんの勉強方法をご紹介します。
ー 今どんなお仕事をしていますか?
アプリのUIや、Webサービス・Webサイトのデザインをやっています。最近はマネジメントや採用の手伝いも少ししています。
ー 普段、デザインの勉強はどのようにしていますか?
Web上の記事や書籍を読んだり、セミナーやトークイベントに参加したりしています。
ー オススメの勉強方法はありますか?
UIデザイン初心者の方にはYoutubeをオススメします。ツールの操作は記事や本だけではイメージしづらくて理解が進まないと思いますし、YoutubeならSketchやAdobe XDなどの操作方法を詳しく紹介する動画が沢山あります。英語の動画がほとんどなんですが、動画なら言葉がわからなくても直感的に理解できるので大丈夫です(笑)。サンプルデータもついている親切な動画もありますよ!
僕が勉強し始めの頃は「Adele」をよく見ていました。DropboxやIBM、Audiなどさまざまな会社のデザインシステムが載っていて、ひたすらSketchデータをダウンロードして眺めていました。実際に使われているデザインシステムを見るだけでもとても勉強になるので、オススメです。
UIデザインの最新情報をキャッチアップするなら、Web上の記事が一番良いと思います。英語の記事が読めたら、より効率良く情報収集できると思います。
ー デザイン以外に勉強していることはありますか?
もっと広い視点を持ちたくて、最近はノンフィクションの本を読んでいます。特に最新のテクノロジー論、表層文化論、人類学などが好きです。
デザイナーは誰しも目まぐるしく変わり続ける仕事環境と自分のキャリアに少ながらず悩んでいると思うのですが、こういう本は普段の仕事から一歩引いた目線で人生を考え直すきっかけをくれます。これからのデザイナーのキャリアを考えると、技術やトレンドをキャッチアップするだけでなく、幅広い分野の教養が歳を重ねるごとに重要になっていくと思います。
ー ちなみに、あまり進んでない勉強はありますか?
英語ですね。英語の記事を読んだり、Slackのチャットで英語を使うことは日常的にありますが、話す機会がほとんどないのでモチベーションの維持が難しいと感じています…。
ー なるほど…。語学の勉強は私もつまづいているところで、どうしたら身につくか気になりますね…。
ということで、せっかくなので英語が得意な小林さんにコツを聞いてきました。
小林-
まずはリスニング能力をアップさせる事をオススメします!
ある程度スムーズに聞こえるくらいに鍛えておくと、 動画や映画を観た時、聞き取りが難しい箇所に遭遇するとストレスを感じるようになりますので、そのストレスをモチベーションにしてみてはどうでしょうか?
その状態にたどり着くまでが課題だと感じている場合は、とにかく習慣化させる事に注力しましょう。Podcastなら20〜30分程度で聞けるし、日英で言語を切り替えるバイリンガルコンテンツを色んな人が配信してくれているので、オススメです。1日でも長く続けて、日常に溶け込ませるように頑張ってみましょう。
まとめ
「幅広い分野の教養」…確かに、デザイナーの活躍の場が広がっている昨今、視野を広げたインプットが成長のために重要だと感じます。以下でオススメしたもらった本はちょっと内容が難しそうですが(笑)一歩引いた目線で自身を見つめ直すために読んでみたいですね!
オススメの本
『コミュニケーション資本主義と〈コモン〉の探求: ポスト・ヒューマン時代のメディア論』
– 伊藤守(2019)
普段仕事で取り組んでいるデジタルテクノロジーが、どれだけ社会と人間のあり方を変えてきたかを捉え直すきっかけになる本です。この本を読むと、スマートフォンの普及はこれから来るスマートシティ時代の入り口に過ぎないということがわかります。僕たちは良くも悪くもデジタルデバイスとデータが持つ潜在的な可能性にまだまだ気づいていないと思わされました。
『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』
– ピーター・ゴドフリー=スミス(夏目大 訳/2018)
人間は脳が考え、命令を出することで身体を動かしているというのが一般的な認識ですよね。一方でタコには決まった一つの脳がないそうです。ではどうやって考えているかと言うと、それぞれの足が脳としての機能を持ち、別々に考えているとか。そんなタコの生態から、意識とはなにか?という深遠な問題に触れる本です。
Case3: 仕事で得たことが一番身になる
最後に、英語が得意で、海外出張の予定もある益田さんの勉強方法をご紹介します!
ー 今どんなお仕事をしていますか?
最近はコーポレートサイトのデザイン案件、親会社であるMonster Labのサイトデザインの案件に関わっています。特にコーポレートサイトの案件では海外のデザイナーと連携して進めるという新しい試みをしており、大変ですがやりがいを感じています。
ー 普段、デザインの勉強はどのようにしていますか?
普段はよく本を読んでいます。先輩がいいと言っていた本も読みますし、自分でグラフィックデザインや写真の本も買って読んでいます。デザイナーになる前はノウハウ系の本をよく読んでいましたが、最近では概念的な話が書かれている本も読んでいます。読書は、先人の考えに触れる事ができて面白いです。
ー オススメの勉強方法はありますか?
実務が一番の方法だと思います。仕事で得た事が一番身になると思うので、私は1つ1つの仕事を、自分の成長に繋げられるよう意識して取り組んでいます。例えば、前回よりパターンを1つ増やして提案するようにしてみたり、要望通り作るだけでなく切り口を変えたデザインも作ってみたり、時間短縮を試みたり、周りのデザイナーにフィードバックをもらうようにしていたり、自分の成長のために何ができるかを考えて色々試してみています。
ー デザイン以外に勉強していることはありますか?
マーケティングや顧客体験、ブランディングを勉強しています。上流から関わるデザイナーとして必要な知識だと思ったので。マーケティングについては、勉強した事をまとめて、社内で共有しました。
英語も勉強しています。もともと英語は大学で学んでいたのですが、仕事で使う機会が増えたのでもっと流暢になれるようボキャブラリーを増やしたいと思っています。
ー ちなみに、あまり進んでない勉強はありますか?
特に進んでいないというのはないんですが、勉強したいことがありすぎて困っています(笑)。時間の使い方を学びたいかもしれないですね。
まとめ
1つ1つの仕事を自分の成長に繋げられるように意識する、という方法が納得感もあり新しい発見にも感じました。具体的な方法も挙げてもらったので、ぜひ実践したいと思います!
オススメの本
『日本のデザイン――美意識がつくる未来』
– 原研哉(2011)
日本のデザインを歴史から辿るので、すっと心に落ちてきます。特に西洋との比較から浮かびあがる日本の「シンプル」は、著者の原研哉さんがアートディレクションをする無印良品にも繋がるところがあり、とても面白いです。
『日本の国宝、最初はこんな色だった』
– 小林泰三(2008)
教科書に載っている芸術品は年月を経て劣化したもので、それが消費されていた当時のものではありません。こちらの一冊には、デジタル技術により復元された日本の国宝と、そこから得られた気づきがまとめられており、日本の文化がどのように醸成されていったのか窺い知ることができます。
『ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと』
– 小山田育, 渡邊・デルーカ・瞳(2019)
著者がニューヨークで築いてきたブランド開発のメソッドと、その必要性が説かれた一冊です。デジタル業界においても、ブランド開発の需要はどんどん高まっており、すぐにでも実践で活かせるノウハウが詰まっています。
おわりに
どんな勉強方法が一番良いのか? SNSや動画を眺めたり、仕事をすることだったり、それぞれマッチする方法が違うということが改めて分かりました。
後編も、参考になる先輩デザイナーの勉強方法をお送りしますのでぜひお楽しみに!
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by Yuri Kano
東北電子専門学校メディアデザイン科卒業。クライアントワークとインハウスデザイナーを経験した後、A.C.O.に入社。
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