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IA(情報設計)視点でみる、赤ずきんはなぜ花畑に寄り道したか?

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「赤ずきん」の物語を、IA(情報設計)視点で分析してみた。

こんにちは、 プランナー/IAの川北です。Webサイトやアプリ、サービスサイトのUX(ユーザーエクスペリエンス)デザイン、情報設計を担当しています。今回は、グリム童話「赤ずきん」について、IA(情報設計)(以下、情報設計)の視点から分析を試してみました。

なぜ、「赤ずきん」について情報設計の視点から分析したか

「赤ずきん」にはもう1つの話があるといわれています。赤ずきんが狼に食べられなかったパターンです。2つの話ができる理由はどこにあるのか、2つの結果に分岐するのは何故か。情報設計ではユーザーが選択をする行動についてを考えるので、この視点を用いて、「赤ずきん」の話を分析すると何か見えてくるかもしれないと考えました。

赤ずきんのウォルター・クレイン画

ウォルター・クレイン画(Wikipediaより)

物語の分岐点はどこにあるのか、何が起こるのか

物語が分かれるためには、分岐となるところが必要です。 物語の分岐点はどこにあるのか? また、そのときに何が起こるのか? この2つの点から、「赤ずきん」の分析をしてみます。

まずは赤ずきんのあらすじを思い出してみましょう。

ー 赤ずきんのあらすじ ー

赤ずきんと呼ばれる女の子がいました。

おかあさんからお使いを頼まれて森の向こうにあるおばあさんの家へと向かいますが、その途中で狼に会って、花畑に寄り道をします。

狼は先回りをしておばあさんの家へ行き、家にいたおばあさんを食べてしまいます。そして、おばあさんの姿になり、赤ずきんが来るのを待ちます。

赤ずきんがおばあさんの家につくと、おばあさんに化けていた狼に赤ずきんは食べられてしまいます。満腹になった狼が寝入っていたところを通りがかった猟師が気付いて、狼の腹の中から二人を助け出します。

赤ずきんは言いつけを守らなかった自分を悔い、反省していい子になります。

分析1. 物語の分岐点はどこなのか

赤ずきんの物語を図にします。

xxxxxx

赤ずきんがおばあさんの家に行くまで

赤ずきんの家を出る→狼に会う→花畑に行く→おばあさんの家に行く

赤ずきんの目的はおばあさんの家に行くことなので、赤ずきんの家→おばあさんの家 が最小項目。花畑はなくても成立します。

赤ずきんが狼に会うことで、「花畑に行く」か「花畑に行かない」の2つの選択がでてきます。この狼との出会いの場面が物語の分岐点になっていることがわかります。

分析2.狼と会った時に何が起こったのか?

赤ずきんが狼に会ったことが分岐点になっていることが分かったので、この分岐点で何が起こったのかを分析してみます。 方法は、情報アーキテクチャの三つの円を用いました。

情報アーキテクチャの三つの円

情報アーキテクチャの三つの円

「ユーザー:誰に、コンテンツ:何を、コンテクスト:どのように」この3つに「赤ずきんが花畑に行った」ことをあてはめてみます。

ユーザ:誰に・・・赤ずきん。おばあちゃんの家にお見舞いに行く途中。

コンテンツ:何を・・・花畑。森の中にあり、すこし道から外れる。

コンテキスト:どのように・・・狼が赤ずきんに花畑のことを話した

狼が赤ずきんにどのように話をしたのか、コンテキストの部分がわかれば、赤ずきんがなぜ花畑に行くことを選んだのかがわかりそうです。青空文庫の「赤ずきん」で、狼が赤ずきんに話したことばを見ると

そこで、おおかみは、しばらくのあいだ、赤ずきんちゃんとならんであるきながら、道みちこう話しました。 「赤ずきんちゃん、まあ、そこらじゅうきれいに咲いている花をごらん。なんだって、ほうぼうながめてみないんだろうな。ほら、小鳥が、あんなにいい声で歌をうたっているのに、赤ずきんちゃん、なんだかまるできいていないようだなあ。学校へいくときのように、むやみと、せっせこ、せっせこと、あるいているんだなあ。そとは、森の中がこんなにあかるくてたのしいのに。」

狼は花畑のことだけでなく、まわりのものを視覚と聴覚をつかって話をしています。狼は優しい顔で優しい声を使ったり、花束を手に持っていたのかもしれません。赤ずきんは、まわりにある花のきれいさに気づき、おばあさんにお花を持って行って見せてあげたいと思った。そこには、おばあさんが喜んでほしい、元気になってほしいという気持ちがあったから、花畑に行った。狼のことばは、赤ずきんの心を動かしたことになります。

ユーザーを深く理解することが大事

この物語について社内でシェアをしたところ、「狼はとてもよくリサーチをしていたのではないか」という話がでてきました。赤ずきんがどのような人物で、何を求めているのかわかっていないと、心を動かすことは難しい。狼は赤ずきんの行動をよく観察していたのかも。

赤ずきんの分析をすることで、情報設計の基本的なことである「ユーザーを深く理解することが大事」ということを示唆していることに気づきました。もう一つわかったのは、狼はリサーチャーだったかもということ。そんな視点で、物語をもう一度読んでみることは面白いです。

赤ずきんの物語にはこのような続きもあるようです。「後日また、赤ずきんがおばあさんの家に行くことになり、別の狼に声をかけられるも、経験から学んでいた彼女は狼の話は聞かなかった。」と。リピートするユーザーも経験から学ぶので、同じ方法では誘導しにくくなる。赤ずきんの物語は、今に通ずる教訓になっているのかもしれません。

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by Natsu Kawakita

静岡大学情報学部卒業。情報科学芸術大学院大学(IAMAS) メディア表現研究科修士課程修了。作品制作・展示活動、広告制作会社勤務を経て、現在に至る。UXデザイン、情報設計担当。UX/IA部マネージャー。

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