- 2020.09.07
“ブランド”はどの段階から考えるべきなのか?
私たちは、新規事業開発のためのデザインスプリントやUXデザインのプログラムを提供してきました。そして、さまざまなサービスを作ることに携わる中で、「デジタルサービスにおける“ブランド”はどの段階から考えるべきなのか?」という疑問を抱きました。
ユーザー調査をして課題を発見し、解決する機能アイデアを考えてプロトタイプをつくる。そこからサービスのデザインコンセプト、トンマナを考えてロゴや画面のデザインをつくる。当たり前のように作っていたプロセスに疑問を感じ、もっと早い段階からサービスのブランドを考えるべきなのではと思い始め、UXデザインのプロセスにブランド開発のプロセスを取り入れました。
今回は、私たちがいくつもの案件を経て構築したデジタルサービスにおけるブランド開発の考え方と、クライアントワークを通して得た気づきを紹介します。
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サービスを作るために同じゴールを目指す
A.C.O.には「好きを、ふやそう」というスローガンがあります。それは私たちデザインファームにとって「好き」を“つくる”ことです。とても感覚的で軽やかに聞こえるのですが、私たちはユーザーやクライアントのさまざまな視点や条件のなかで、好きだと喜べるものをつくる必要があります。「好きで喜べるもの」とは、素敵なビジュアルでかっこいいものだけではなく、ビジネスの成功がついてこなければなりません。
デジタルクリエイティブの業界では、近年ずっとユーザーファーストでユーザー体験を重視しています。当然そこを疑う余地もないのですが、もう一つ忘れてはいけないのが「サービスを運用するチームや組織が、いかにそこにしかない独自性を理解し、そのサービスや商品に熱烈な存在意義を感じて提供し続けていくのか」ということです。これを明らかにし、デザインで協力する自分たちもそれに共感し、同じゴールを目指して作ることで、デザインがサービスの成功に深く結びついていくのだと強く思っています。

ブランド開発をする目的
サービスの存在意義をきちんと理解できないままロゴを考え、機能を考え、UIをデザインをすることはとても危険で難しく、制作する私たちはデザインの価値を最大限提供しきれないという不安が生まれます。そのため、クライアントがサービスのブランドを言いきれてなかったり、表現がふんわりしていたら、一緒に整理をするところから始めます。
サービスが成功するために必要なこと
生産力で拡大していくビジネスモデルが成功していた時代では、大きい会社がつくるサービスの存在感が圧倒的でした。そのため、スモールスタートでサービスを展開させるようなモデルはあまりうまくいきませんでした。ところが世界は変わり、サービスを作り成功するチャンスが増えていきました。その結果、世の中に似て非なるものがどんどん作られています。
もちろん、それぞれを細かく見ていくと違いはあるのですが、どうしても埋もれがちにななってしまいます。一方、強いブランドは際立って目立ってきます。すべての人に届けるというよりも、求められるところに求められるものを最適な形で提供する。そこにはきちんと独自性があり、それをやるべきだ!という強い信念とともにビジネス戦略が練られ、展開されているのです。
他とは違う自分たちにしかないものをきちんと見つけて、外部に表現し伝える。内部には信念に共鳴してもらう。これがないと、ビジネスの成功にはつながらないと考えているのです。
ブランド“らしさ”を言語化する
では、強いブランドをつくるためにはどうしたらいいのでしょうか?
私たちはサービスの機能アイデアを考えるときに、ブランドを考えるワークを取り入れています。サービスは機能だけでできているのではなく、そのサービスのブランドが持つ“らしさ”が備わって形成されるからです。
同じような機能を持つ類似サービスは多くあったとしても、サービスをつくる人が持つビジョン、ミッションには必ずそこにしかない個性があります。それを見つけて言語化することがブランド開発のワークです。

A.C.O.のサービス開発プロセス
また、機能アイデア開発とブランド開発を同じタイミングで行うことで、本当に必要なアイデアだけを取捨選択することができます。大体の場合、機能アイデア開発ではやりたいことがたくさん出てきますが、本当にすべてのアイデアが必要かどうかを判断することは難しい。でも、サービスのビジョン、ミッションをはっきりさせることで、ブランド方針に沿わないアイデアが削られることになりますし、今まで考えてきたアイデアを強い指針を持ってアップデートすることにも繋がります。
デザイナーはアウトプットするだけじゃない、場の空気を変える人
A.C.O.のサービス開発ではUXデザイナー、UIデザイナー、アートディレクター、エンジニアなどの制作メンバーと、クライアントのメンバーがチームになって一緒に進めていきます。

A.C.O.のサービス開発のプロセスとメンバーのアサイン
機能アイデア開発からブランド開発の期間、集まって考えることには時間も労力も使いますが、クライアントも含めたチームでひたすらサービスについてを考えるので、合意形成が早いです。
サービス開発の初期段階では、機能価値と感情的価値、抽象化と具体化、行ったり来たりを繰り返し、考えて考えてアウトプットして、サービスのあるべき姿をイメージすることが大事になります。そこで、抽象的なことを言語化したり可視化することができる、デザイナーの役割が重要になります。ディスカッションの場に新しい視点を持ち込み、話の流れを変えたり、言葉やビジュアルによってポジティブな空気をつくっていくのです。そのため、サービス開発の初期段階からデザイナーがいるとチームとしてとても強くなるのです。多角的な視点からクライアントの意見を聞き、自分の意見を話せる人が、サービス開発プロジェクトにおけるデザイナーの役割として、とても重要になっていきます。

終わりに
一つのブランドが世の中に出るまでに、どのようなプロセスを経てつくるかを実際にやってみてわかることが多くあります。ユーザーのニーズは何か、市場での差別化は何か、未来の社会はどうなっているのかなどデザインやエンジニアリングに対しての知見だけでなく、社会をどう見るのか広い視座が求められています。
協力し合うこと、考えることが好きな人、A.C.O.の考え方に共感し共に働いてくれる方のエントリーを私たちはお待ちしています!
このプログラムにご興味のある企業のご担当者の方は、ぜひ一度お問い合わせください。
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by Monstarlab Design Journal
Monstarlab Design Journal 編集部です。 モンスターラボデザインチームのデザインナレッジとカルチャーを発信していきます。
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Overview
×- 社名
- 株式会社A.C.O.
- 設立
- 2000年12月
- 資本金
- 10,000,000円
- 代表者
- 代表取締役 長田 寛司
- 所在地
- 〒150-0012 東京都渋谷区広尾1-1-39恵比寿プライムスクエアタワー6F