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ChatGPT活用!アナロジーから着想するアイデア発想法

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こんにちは、UXデザイナーの本田です。普段は主にWebやモバイルアプリのUXデザインやサービスデザインをしています。

ビジネスの現場でアイデアを生み出すことは、多くの方にとって頭を悩ます問題だと思います。

この記事では、アイデアを発想する上で重要な「アナロジー」という考え方を取り上げます。そして、アナロジーを用いたアイデア発想において、今流行りのChatGPTをどのように活用できそうかご紹介したいと思います。

アナロジーとアイデア発想

アナロジーとは、「類推」を意味し、未知の物事や深く知らない物事を、既知の物事に照らし合わせて推論する思考法を指します。

アイデア発想に関してよく知られている名言に、「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせに過ぎない」というものがあります。

この言葉は、ジェームズ・W・ヤング氏が著書『アイデアの作り方』で取り上げたものですが、同書には「既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性を見出す能力に大きく依存している」という記述もあります。

つまり、新しい発想は既存の物事の構造や関連性を解き明かし、要素を組み合わせることで生まれると理解できます。

その要素の組み合わせを行う際に重要となってくるのが、アナロジーの考え方です。

他社のうまくいっている事例をそのまま取り入れてみたが、自社の組織や事業特性に合わずうまく行かなかったという経験はないでしょうか?

単に表面上の類似性に基づいて他社の成功事例を模倣することは、自社の独自の文脈やニーズを無視する結果となりがちです。

表面的な類似点ではなく、成功事例の背後にある根本原理や構造を理解し、それを自社の状況に適応させることが重要になってきます。

スニーカーとおにぎり

アナロジーを用いたアイデア発想の事例としては、研究分野からビジネスまで色々ありますが、ここでは最近見つけた面白い事例を1つ紹介します。

2000年代にスニーカーブームの火付け役となった本明秀文氏が、おにぎり専門店「ぼんご」から暖簾分けした店舗の経営を始めたというニュースが、Newspicksの動画で紹介されていました。この動画で、本明氏は「おにぎり専門店でスニーカーのビジネスモデルは通用する」と話しており、その言葉だけでは頭が混乱しそうな内容です。

一見全く異なるビジネスに見えますが、コラボやファンビジネス、通販といった、スニーカー市場で成功を収めたビジネスモデルをおにぎり屋に応用することで、比較的市場規模が小さいとされるおにぎりビジネスの中でも、客単価と売上の向上に成功したそうです。

これは、ビジネスにおける成功モデルを抽象化し、他分野に転用したアナロジーの事例だと言えると思います。

ChatGPTを使ってアイデア発想

では、本題のChatGPTを使ってアナロジーを活用したアイデア発想を行う方法を紹介します。

以下のプロセスで行います。

課題の設定

今回は、事例で挙げた「おにぎり屋」をテーマに「おにぎり屋の売上を上げるには」というテーマで取り組みたいと思います。

課題の特性を分解

多くの課題には、業界や組織など様々な要因による特有の事情というものが存在します。それらの課題の特性を捉えることで、うまく「借りてくる」ことに繋がります。

課題の要素分解は、リサーチ等を通じてよく調べ理解することが前提となりますが、ここでは、ChatGPTを活用してみます。


本田

おにぎり屋の売上を上げるための課題と特性について教えてください。


ChatGPT

  • おにぎり屋は通常、おにぎりといくつかのサイドディッシュを提供しますが、他のフードチェーンに比べてメニューの単一性が高い傾向があります
  • おにぎりは一般的に低価格で提供されることが多いため、価格競争に巻き込まれることがあります
  • おにぎりは手作り料理であるため、調理プロセスの効率化が重要です。他のフードチェーンは一部のメニューアイテムを工場で調理し、店舗で温めることができますが、おにぎりは店舗内で手作りされるため、調理時間と手間がかかることがあります

なるほど、「他のフードチェーンに比べてメニューの単一性が高い傾向」という特性は、確かにおにぎり屋の特性として存在しそうです。

特性に応じた成功事例を収集

次に、「メニューの単一性が高い傾向」をうまく解決している事例を探したいと思います。

この過程では、繰り返しにはなりますが、事例の表面的な成功ではなく、その成功を支える原理やメカニズムに焦点を当てることが重要です。

そして、これらの原理を自社の文脈に合わせてカスタマイズし、試行錯誤を繰り返しながら最適な解決策を見出す必要があります。


本田

おにぎり屋のメニューの単一性という課題を解決したいです。 飲食店以外でメニューの単一性という課題をうまく解決しているアナロジーな事例を教えてください


ChatGPT

フラワーショップは基本的に花を販売する専門店ですが、花束のデザイン、種類、色、サイズ、ラッピングオプションなどを多様化し、顧客の好みや特別なイベントに合わせたカスタマイズを提供します。

おにぎり屋も、基本的なおにぎりに異なる具材、ソース、トッピングを組み合わせ、顧客が好みのおにぎりを選び、カスタマイズできるようなメニューアプローチを採用できます。おにぎりの具材や組み合わせを多彩にすることで、顧客に個別の選択肢を提供し、単一性の課題を解決できます。(回答から一部抜粋)

確かに、(実際はもう少しバリエーションがあるが)花という単一商品をメインで扱い、カスタマイズを前提とするフラワーショップは特性的に近いかもしれません。

成功モデルを抽象化して転用

ここでは、ChatGPTの回答を直接使用せず、フラワーショップの成功事例を参考に更なるリサーチを行うことにしました。

フラワーショップで顧客単価を向上させている事例を調査すると、コロナ禍でも売り上げを伸ばしている青山フラワーマーケットが見つかりました。ブランドマネージャーである遠藤寛和氏は次のように述べています。「他の花屋さんとの違いがあるとすれば、旬へのこだわりと商品の付加価値だと思っている。一年は52週あり、その時々で旬のものを一番良い売り場で展開している」。

旬へのこだわりと商品の付加価値を実現するために、「生花の冷蔵設備を持たず」「仕入れた商品は1~2日で完売させる」「廃棄率は業界平均の10~20%に対してわずか3%」を実現しているそうです。

青山フラワーマーケットの成功モデルから、「在庫を持たずに旬にこだわる」「可能な限り冷蔵設備を排除する」というキーポイントを抽出できました。

これらのアプローチをおにぎり屋に応用すると、旬の食材を厳選し、在庫や廃棄を最小限に抑えるビジネスが考えられます。駅前の一等地で、高単価かつ高品質のおにぎりを提供すると、客単価の高いおにぎり屋が実現できるのではないでしょうか。

ともに冷蔵設備を必要とするフラワーショップとおにぎり屋、まだまだ参考にできる要素は多そうです。

すでに似たコンセプトやシステムのおにぎり屋は存在するかもしれませんが、一見関係ないフラワーショップの事例から、おにぎり屋の売上向上につながる新たな仮説を立てることができたのではないでしょうか?

おわりに

アナロジーについて触れた本に、細谷功著の『アナロジー思考』があります。この本は、「すべての思考は『類推(アナロジー)』から始まる」というコンセプトを掲げ、アナロジーを用いた思考法やそのプロセスに焦点を当てています。アナロジーについてもう少し知りたい方はぜひ読んでみてください。

私は昔からアナロジー的な発想が好きで、ハッカソンに参加した際にはよくアナロジーを使ったアイデアを提案していました。

通貨の保管や取引の機能を持つ点でATMと自動販売機を組み合わせた少額取引が可能なATM付き自動販売機サービス「A.T.M.Revolution」や、閉鎖的な空間であることや水中にあるという共通点から着想を得て、フェリーの一室にプロジェクションマッピングを投影し、まるで潜水艦に乗っているかのように魚を楽しむことができるデジタル水族館「サブマリウム」を提案したことがあります。アナロジーと同じくらいダジャレも好きみたいです。

皆さんも、アナロジーを活用して、新しいアイデアを世の中に届けていきましょう。

デジタル水族館「サブマリウム」

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by Yuma Honda

大手通信キャリアにてインフラエンジニアとしてキャリアをスタート後、UX/UIデザイナーに転身。WebやモバイルアプリのUXデザインや新規事業開発のサービスデザインなどを担当。

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