- 2020.10.05
こんにちは、8月からA.C.O.に入社しましたデザイナーの篠田です。新しい刺激を受けつつ、毎日の業務に奮闘しています。今回はデザイナーの先輩方に、デザイナーとして働く前に取り組んでいたことや、自分の強みに繋がった経験について聞きました。デザイナーとして働き始めたばかりの方やデザイナーを目指している方々の力添えになるような先輩方のアドバイスをご紹介します。ぜひ今の自分と重ね合わせながら読み進めてみてください。
Case1.どうデザインするかというコンセプトや思考を大切にする
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Saki Iwata
岩田 紗季・武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。制作会社にてランディングサイトやコーポレートサイトなどのデザインを経て現在に至る。デザイン担当。デザイン部所属。
ー 働く前に取り組んでいたことや、自分の強みに繋がった経験について教えてください
私は「考察からかたちを作る」プロセスに興味があってデザインをしています。 それには、「デザインを分けない」という大学での教えが影響しています。
デザインとは、生活者が本来あってほしいと願う「かたち」をつくり出すこと。そして、生活の中の行為やふるまいなどを考察し、おのずと「かたち」が浮かび上がってくる瞬間に立ち会うこと。
これは私の母校である、武蔵野美術大学の基礎デザイン学科の基本方針です。すでにあるデザイン領域に対応する技術を教える場ではなく、幅広い領域で必要になる「かたち」の生成力を身に着ける場所であるという意味合いです。
大きなカリキュラムの話ですが、私のデザイン的な思考にも影響しています。 たとえば私がいつも考えていることは「そもそも課題は腑に落ちるか」「課題とコンセプトが合っているか」という考察と、「デザインが美しい・正しいか」のかたちの良し悪しです。
最後には「デザインを見たときにコンセプトがすっと腑に落ちるのか」というつながりの部分を、特に大切に考察するようにしています。
Case2.感情や気分の動きを自覚できるように意識する
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Hiroki Ishii
石井 宏樹・早稲田大学創造理工学研究科建築学修了。建築設計事務所にて意匠設計の経験を経て、現在に至る。デザイン担当。デザイン部所属。
ー 働く前に取り組んでいたことや、自分の強みに繋がった経験について教えてください
自分のごくわずかな感情や気分の動きを自覚できるように意識することが、デザイナーとして手を動かす一歩手前の段階として重要だと思います。
なんとなく使いづらい、一瞬迷った、好き、嫌い、ほしい、いらない、などなど、人間は日常のあらゆるシーンでなにかを感じています。ですが、ほとんどの人は自分がそう思っていることにすら気づいてないか、気づいていてもそれを言語化できていません。
まずは自分の感情に気付けるように意識し、自分は今なぜそう感じたのか?を分析して言語化してみる習慣をつけるといいでしょう。
重要なのは、どんなものに対してもそれが当たり前だと思わないことです。日常的な習慣や道具のインターフェース、商品のパッケージなど、あらゆるものに対して「なぜそういうデザインなのか?」を考えるようにしています。それが当たり前だと思ってしまうと、デザインでもっと良くできるかもしれない可能性を見逃してしまいます。
これを実践するためには、自分に嘘をつかず素直に生きることが大切かもしれません。自分の感情に嘘をついたり誤魔化しながら、本当の感情に気づくことはとても難しいと思います。
Case3.思い立ったらとりあえず動く
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Yusuke Fujikawa
藤川 裕介・日本大学理工学部建築学科卒業。東京デザインプレックス研究所卒業。フリーランスを経て、現在に至る。デザイン部所属。
ー 働く前に取り組んでいたことや、自分の強みに繋がった経験について教えてください
大学の建築学科に在学していた頃は、前段の話や、コンセプトをどうかたちに反映させていくかといったことを長い時間考えていることが多く、”手で考える”ということができませんでした。
おかげで、課題やかたちに対してさまざまな角度から考え、可能性を探ったり、仮説を立てて実際に作って検証するようなやり方は身につきましたが、今は意識的に ”思ったことをまずは形にする・先に手を動かす”こともするようになりました。
僕の感覚ですが、後者の方が直感的にいいと思うもの、美しいと思えるものが生まれやすいと思っているからです。
デザインをする上で、考えること・気づくことは非常に大事な要素ですが、手を動かしたからこそ気付けること・考えるきっかけになることも多いです。
どちらがいいというわけでもなく、どちらも必要だとは思っているのですが、デザインという確実な正解がないはずの行為に対して、今はいろいろな情報が溢れています。そんな中で、頭でっかちに考え過ぎず、まず一度自分の感覚に従ってみる。そしてその結果に対して改めて考えるという経験を一度くらいしておいても損はないかなと思います。
Case4.いろいろなものを網羅的に観察する
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Hisashi Yoshitake
芳武 玖・静岡文化芸術大学デザイン学部卒業。社会課題と先端技術への関心から、科学系の有志団体に所属。テクノロジーの可能性や面白さを伝えるための制作・展示やワークショップ等の活動を経て、A.C.O.に入社。
ー 働く前に取り組んでいたことや、自分の強みに繋がった経験について教えてください
自分の場合は、いろいろなものを観察することを大切にしています。街で見かける人の動作や表情、あるいは空の色や商店の看板、動植物、などなど、特に気にしなくてもいいようなことも視界に入れながら、全体の流れに気を配れる状態にしておくという感じです。
自分が興味のあることにフォーカスすることは楽しいのですが、興味のある範囲だけを切り取ってみていても、バラバラの情報にしかならず、”Aは〇〇である”というような理解しかできません。それは単体の情報を得ただけにすぎないからです。
一方、いろいろなものを網羅的に見ていると、それぞれがどのように他の情報とつながっているか、どういう理由があってそうなっているのかという裏側や仕組みの部分がうっすらと見え始めるようになります。よく「情報のシャワーを浴びる」という表現がありますが、まさにそういった感じで、世の中に散りばめられた多方面の情報を観察することで、情報どうしの結びつきが見えるようになり、自分の観測している世界像がクリアになっていきます。
デザイナーはこの感覚を持っていることが必要だと思っています。
なぜならデザイナーは作る人だからです。そこに必要な目線は、”Aは〇〇である”というような与えられた情報を受け取るだけの「消費者的な目線」ではなく、観察によってさまざまな視点から物事の裏側・仕組みを知り、自分や他者の生活と、どう作用し合っているのかを理解し想像する「使用者的な目線」だと考えています。
「バタフライエフェクト」という言葉があるように、世界は全部つながっていて、些細なことでも関係しあっていると思うので、その中で自分の作るものがどういうものなのか、社会にどういう影響を与えるのかということは意識しながら、ものづくりに携わっていきたいと考えています。
Case5.本気で、死ぬ気でユーザーの気持ちになって考える
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Megumi Ohashi
大橋 恵・多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻卒業。採用コンサルティング会社・システム制作会社勤務を経て現在に至る。一児の母。UXデザイン、情報設計担当。UX/IA部所属。
ー 働く前に取り組んでいたことや、自分の強みに繋がった経験について教えてください
私は大学で学んだ「本気で、死ぬ気でユーザーの気持ちになって考える」ことを、今でも大切にしています。
学生時代には、調査や仮説検証を経てプロダクトを作るプロセスを学びました。
その中である教授からの、「たとえば、ホームレスの方の問題を解決したいなら、ホームレスの気持ちになって考えよう、意見を聞いてみよう、と考えるのは当然だ。だが、本当に良いデザインをしたいなら、自分もホームレスになって体験しようとか、死ぬ気でユーザーの気持ちになるくらい真剣に向き合って話を聞くことが大事」という言葉がとても印象に残っており、今でも心に留めて仕事をしています。
私は以前、学生向けのキャリアカウンセラーとして働いていましたが、そのときもこの教えを大切にしており、話しやすい環境作りや言葉遣い、態度などを心がけていました。これらに気を配ることで、学生の話し方や様子がかなり変わることに気づき、今の仕事の中でも心がけています。実際その人になることは難しいですが、本音を自然と引き出せるような細かい工夫をしています。
まとめ
今回は、先輩方がデザイナーとして働き始める前に取り組んできたことや経験したことを紹介しました。みなさんは自分の行動や経験と重なる部分がありましたか? 何か一つでも意識して感じ、動くことを私と一緒に始めてみましょう。自分の感情や経験をさらに豊かにしていくことがデザイナーとして幅広く活躍できる大きな一歩になりそうです。私自身、右も左もわからず、周りの方々にたくさん支えられながら毎日の業務に奮闘していますが、先輩方が取り組んできたことや私自身が大切にしていることを意識して、自分の進む方向を自分の力で形づくっていきたいです。何よりも楽しみながら!
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by Manami Shinoda
東京デザインプレックス研究所卒業。デジタルコミュニケーションデザイン専攻。
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