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意外と知らないUXデザイン

#2-前編 ユーザーインタビュー成功の鍵を握る「リクルーティング」のポイント【インタビュイー条件の整理編】

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インタビューがうまくいかない原因はリクルーティングにあるかも?意外と知らないリクルーティングのポイントをご紹介

昨今のUXデザイン案件や新規サービス開発案件では、プロセスの中にユーザーインタビューを組み込む場合も多いかと思います。

そんなユーザーインタビューを実施した際に、「聞きたいことを経験している人を呼んだはずなのに、いざ話を聞いてみると経験の度合いが不十分だった」「そもそも経験の認識が食い違っていた」などのような経験をしたことがある方はいませんか?心当たりがある方はもしかしたらインタビュイーを選定する「リクルーティング」がうまくいってなかったのかもしれません。

ユーザーインタビューにおいてリクルーティングは実は非常に重要なプロセスです。にも拘わらず、リクルーティングについて書かれた記事はそれほど多くありません。そこで今回は意外と知られていないリクルーティングのポイントについて、前編と後編に分けてご紹介します。

<本記事で登場する用語>

リクルーティング
ユーザーインタビューを実施するために、アンケートを通してインタビューで聞きたい経験や属性を持っている人を見つける工程。不特定多数の人にアンケートを送付して回答してもらい、回答内容から条件が合致する人をインタビュイーとして選定するという流れが一般的。

インタビュイー
インタビューに答える人のこと。

インタビュイーの条件
この記事では、インタビューで聞きたい経験や属性をインタビュイーの条件と表記します。

インタビュイーの候補者
この記事では、インタビュイーの条件には合致しているがまだインタビューを受けることが確定してない人をインタビュイーの候補者と表記します。

回答者
この記事ではアンケートに回答する人全般を指すものとします。インタビュイーの条件に合致するかどうかは関係ありません。

リクルーティングのプロセスと成功のポイント

リクルーティングのポイントを理解するために、まずはリクルーティング前後のプロセスを知っておく必要があります。おおまかなプロセスを以下に図式化してみました。

ターゲット調査(ペルソナ)とインタビュー設計(インタビュー計画書)→リクルーティング(インタビュイーの条件整理、アンケート設計、配信、集計、日程調整)→インタビュー

リクルーティングのプロセス

まず、ターゲット調査によって見えてきた「インタビューで聞きたいこと」をインタビュー計画書にまとめます。それを元にインタビュイーの条件を抽出・整理し、条件に合う人を見つけられるようなアンケートを設計。そしてアンケートを実施して条件に合致する候補者が見つかったら日程を調整してインタビューに至るというプロセスです。

どの工程も大切ですが、インタビュイー条件の整理アンケート設計の精度が不十分である場合に、冒頭で挙げたようなインタビュー時の問題が起きやすいです。

そこでこの前編ではインタビュイーの条件を整理する際のポイントをご紹介し、後編で実際にアンケートを設計する際のポイントについてご紹介します。それでは見ていきましょう。

抽象的な条件は行動や人の属性が判別できるレベルまで具体化する

インタビュイーの条件整理とは、事前の調査やインタビュー計画書で固めてきたインタビュイー条件を具体化する工程です。条件を具体化することによりアンケート時に絞り込む対象が明確になるため、アンケート設計の精度を高めることができます。

ではどこまで具体化すればよいのでしょうか。A.C.O.では行動や人の属性が判別できるレベルまで具体化することを目安としています。例を用いてもう少し詳しく説明します。

– 抽象的な行動の例

例えば、事前の調査で見えてきた条件の中には「〇〇に興味がある」「〇〇が好き」などといった条件が含まれている場合がありますが、このような条件は抽象的で行動のレベルまで具体化できているとは言えません。

「興味がある」という言葉が様々な行動を含んでいることを表す図

なぜなら「興味」「好き」という言葉の定義は人によって異なるからです。「興味がある」という回答をした人の中には以下のような様々な行動が含まれる可能性があります。

  • 単にCMを見ただけの人
  • PCで検索をした人
  • 人に聞いた人
  • 本を読んだ人

また、行動が同じ場合でも行動の頻度が異なる場合もあります。「人に聞く」という行動をとった人の中には、一回だけ聞いた人もいれば複数の人に繰り返し聞いている方もいるでしょう。前者と後者で興味の度合いが大きく異なることはいうまでもありません。

もしあなたがアンケートの質問で「〇〇に興味がありますか?」という形で質問をしてしまったら、回答者が実際はどんな行動をどれくらいの頻度とっていたかまで判別することはできないですよね。結果としてインタビューで聞きたい内容によっては関係ない人までインタビュイー候補者に含んでしまう危険性が生まれてしまうのです。

そのような事態を防ぐためにも、インタビュイーの条件で「どんな行動を、どれくらいの頻度で行なっている」というレベルまで具体化しておくことをお勧めします。

– 抽象的な属性の例

「医療従事者」という言葉が認識させる職種の範囲が人によって異なることを表す図

行動だけでなく人の属性を表す言葉にも抽象的な言葉が存在するので注意が必要です。

例えば「医療従事者」という言葉。一見具体的にも見えますがこちらも同じく人によって捉え方が異なる言葉です。医者や看護だけを医療従事者と捉える人もいれば、医療事務や歯科衛生士、獣医なども医療従事者に含めると捉える人もいるでしょう。

なので職業や役職などの属性について聞くときも定義が曖昧なものは使わず、具体的に指し示すことのできるものを使いましょう。

インタビュイーの条件を整理する際は言葉一つ一つに対して、

  • 人によって解釈が異なる可能性は無いか
  • 具体的な行動や属性になっているか

を確認していくことが大切です。

インタビュイーの条件が整理できたらアンケート設計に移りましょう

リクルーティングのポイントとしてインタビュイーの条件を整理する際のポイントについて改めておさらいすると、下記を意識することが大切です。

  • 抽象的な条件は具体的で、定義が明確な行動や属性にする
  • 条件を具体化するときは個人の思い込みで行うのではなく、実際の調査に基づくこと

そして後編では、アンケート設計のポイントについてご紹介します。アンケートはただ質問を並べるだけだと、途中で面倒になって回答をやめてしまう人が出たり、謝礼目当てに答えを偽装する人が出てきます。これらを回避してより多くの人から正しいアンケート結果を得るための工夫をお伝えします。

それでは後編もお楽しみに!

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