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デザイナーとしてプロジェクトに参加するときはいつも、クライアントやデザイナー以外のプロジェクトメンバーがどうすれば主体的にデザインに関わることができるかを考える。

デザイナーによくある悩みで、クライアントからデザインのディテールに数多くの細かいフィードバックが入るというものがある。そういったプロジェクトでは、デザイナーが信用されていない可能性が高い。

僕達のようなデザインコンサルティングファームには、知り合ったばかりのクライアントから限られた期間の中で最良のデザインをつくることが求められている。まずはその期待に応えるために、デザインのプロフェッショナルとして信頼してもらう必要がある。さらに言えば、プロジェクトの成功にはデザイナー個人だけでなく、プロジェクトに関わる全てのメンバーの協力が不可欠になる。デザインのクオリティは、スケジュールや予算、コンテンツ管理、ステークホルダーからの承認、開発環境、メンバー同士の人間関係など、あらゆる要素から影響を受けるからだ。

ただしこれは、なんでもみんなで話し合って決めましょうという話ではない。むしろ、デザイナーにデザインを任せてもらえる関係性をつくることでもある。

ではそのために、具体的にどうするか?

まずは自分自身の業務の担当範囲を明確にすることが重要だ。デザイナーの業務範囲はどうしても曖昧になりやすい。例えば「テキストはクライアントから提供されたものを使ってください」とか「ワイヤーフレームは出来ているのでそのままデザインに起こせばOKです」と言われても、必ずどこかしらにデザイナーが自己判断で調整する部分がある。それは、デザインというものには本来的に形にしなければわからない問題や改善点が含まれているからだ。

しかしそういったことを繰り返していくと、徐々にプロジェクトメンバー間の担当業務範囲が曖昧になり、特定の人に作業量が偏ったり、スケジュールがうやむやになったりする。僕はそれを避けるために、自分の担当範囲外の作業をする場合は必ず一言メンバーに報告するようにしている。そうすることで「ここはデザイナーに任せたほうがよさそうだから、引き続きお願いします」となることもあるし「あとは私でやっておくのでまた何かあれば教えてください」となる場合もある。

プロジェクトメンバーがお互いに業務の担当範囲を明確にし、信頼し合うことで、自分がやるべき業務に集中して取り組むことができる。また各メンバーの担当範囲が明確になることで、デザインに対しても不安からくるネガティブチェックではなく、より良いものにするための建設的な意見をもらえるようになる

もうひとつ気をつけているのは、プロジェクトメンバーにデザイナーの作業内容や悩みなどをなるべくありのままに共有することだ。デザイナーの仕事には決まったプロセスがない。もちろんプロジェクトごとに決まったスケジュールはあるし、デザインに必要な情報を整理したり、完成したデザインを客観的に評価するための方法論はある程度確立されている。だがデザイナーの仕事で最も重要な「デザインを思いつく」プロセスはどうしても定型化できないのである。そのためデザイナーの仕事は、他のメンバーからするとある種の魔法のようにみえることもある。だからこそデザイナーは自分の仕事がブラックボックスにならないよう、プロジェクトメンバーに対して自分が取り組んでいるデザイン作業の過程、改善したい点やボトルネック、悩みなどをフランクに開示していくべきなのだ。

そうすると、デザイナー以外のメンバーもいま取り組んでいるデザインのことが徐々にわかってくるし、あるとき思いがけない意見をもらえることもある。

このようにして、デザインをプロジェクトメンバー全員で作り上げていく。「チームを巻き込む」ことが、最高のデザインをつくるために不可欠なのである。

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by Monstarlab Design Journal

Monstarlab Design Journal 編集部です。 モンスターラボデザインチームのデザインナレッジとカルチャーを発信していきます。

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