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グローバルリサーチ

完璧な表現より、リアルなほうがいい!世界中をファンにする、3つの企業ブランディング

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コーポレートコミュニケーションはもっとリラックスしよう

こんにちは、A.C.O.Journal編集部です。僕は毎日、ブランドがオンラインでコミュニケーションするための新しい方法を探しています。

企業のコミュニケーションは大抵、隅々まで管理されていますよね。文章やコメントの内容を一言一句チェックして、間違いやリスクはないか慎重に確認します。ですが僕は、最近そんな確認作業なんて止めたほうがいいんじゃないか?! と、考え方を変えてくれるようなブランドをいくつか見つけたんです。 ブランドがもっとリラックスして柔らかくなったら、コミュニケーションのあり方にどんな変化が生まれるでしょう?

今回は、そんなおもしろい試みをしている、3つの企業を紹介します。

CASE 1 歴史の“建築家”たち

企業サイトにある歴史(沿革)のページは、そのほとんどがとてもドライです。タイムライン上に淡々と史実が並んでいますが、正直、そこから僕が何かを「感じた」ことはありませんでした。しかし、フランスの総合石油会社《トタル》は、それを変えようとしているようです。

彼らは、全てのステークホルダーからエピソードを募集して、Wikiにまとめていました。現社員、元社員、顧客、ファンの人……少しでも関わりがあれば誰でもOK。その様子は、まるでパッチワークのようです。

WikiTotalの国別記事一覧ページ

2006年から2009年の4年間、ブルネイで働いた人の記事

『WikiTotal ー Your Stories, Our History(あなたの物語、私たちの歴史)』と名づけられたこのWikiには、編集チームがつくった記事と、ステークホルダーが投稿した記事が混在しています。自由に投稿したエピソードや写真を、編集チームが確認してアップする仕組みです。

結果はどうでしょう? 英語とフランス語が混じっていたり、書き方が統一されていなかったり、サイトのつくりはちょっと雑然としています。ですが、プロジェクトとしてはうまくいっていると感じました。なぜなら僕はこのサイトを見て、そもそも歴史って、一つのタイムラインにはまとめられない、雑多なものだと思ったからです。企業の歴史のなかで起こったイノベーションや、買収劇の間に埋もれていた職場の雰囲気、そこにいた人々、彼らが成し遂げたこと……。それこそが “トタルの本当の姿”なんじゃないかなと。

僕は編集チームに、どうしてこのプロジェクトをはじめたのかメールできいてみました。すると、コミュニケーションチームのディレクターが返事をくれました。

トタルはまもなく100周年を迎えるということで、それに向けてこのWikiをつくっているそうです。既に500ページほどの記事が集まっており、これからも記事を増やすことに取り組んでいくとのこと。

ディレクターは「私たちは全員が歴史の“建築家”なんです」と説明してくれました。僕はこのセリフがとても好きです。多くの企業は、自分たちの企業文化はとても協力的だとアピールしていますが、実際にコミュニケーション戦略としてそれを実践しているケースは少ないですから。

CASE 2 あなたの次の上司をチラ見してみる?!

優秀な経験者を採用することって、大変な仕事ですよね。募集要項を長々と書くのは骨の折れる作業です。そこで、文章の代わりに動画を使うという手段はどうでしょう?

ロシュのPR部署のリーダーを募集するインタビュー動画

とはいえ、すでに多くの会社が企業文化を知ってもらうための動画を作成しています。でも、それでは一つ一つのポジションについて詳しく説明できません。スイスの製薬会社《ロシュ》は、PRチームのリーダーを募集するときに、PRチームの上に立つディレクターへのインタビュー動画を用意しています。

もちろん、ビデオでは業務内容が詳しく解説されていきます。しかし、あなたが実際にこの上司と働きたければ、一番重要視するのはその上司の人柄だとは思いませんか? 普通の募集要項ではそこまで想像してもらえないですが、ビデオであれば資料よりも伝わるはずです。もちろんこれは、台本とリハーサルがあった上で撮影されたものでしょう。それでも、僕はこれが “オープン”になるための勇気ある一歩だと思いました。

動画の説明文には「応募するにはあなたも動画で、自分がこのポジションに最適な人間であることを紹介してください」とあります。あなたはビデオで応募する勇気はありますか? 本当に仕事が欲しかったら僕はやると思います。実はそれこそがポイントなのです。つまり、ハングリーで自信を持っている人々だけが応募してくれるというわけですから。

CASE 3 CEOといきなりSkypeしてみませんか!?

どんな企業のWebサイトにも、オンラインでコンタクトをとるためのフォームやメールアドレスが載っていますよね。ですが、そのアドレスの先の担当者と心の通じたコミュニケーションをとりたいと思う人は滅多にいないでしょう。

アメリカのオーラルケアメーカー 《Hello》のCEOであるクレイグ・ドゥビツキーは、既存のやり方に満足していませんでした。そこで彼は、サイトを訪れたすべてのユーザーが彼自身のSkypeにワンクリックでコールできるボタンを用意したのです。

HelloのWebサイトにあるSkypeへのコールボタン

僕も実際にコールしてみました! 朝6時の東京(アメリカは夕方の5時)からコールしたのですが、彼はちょうど帰宅していたので、翌日かけ直すことに。僕は緊張する手でボタンをクリックしましたが、クレイグは大きな笑顔で「やあ、ジェームス!」と挨拶してくれたのです。

自社の商品を手に持つHelloのCEO、クレイグ

JB 「どのくらいコールがくるんですか?」

クレイグ 「世界中から、ほぼ毎日コールがきますよ! かれこれ5年くらい続けているんですが、これまでに約78カ国からきました。その多くは同じオーラルケア業界の人たちですが、歯医者や学生からもたくさんきます。でも、そのほとんどが興味本位によるものなんです。裸のままコールしてきた人もいましたし、サウジアラビアの砂漠の真ん中からコールがきたこともあります。彼らは本当に出るとは思っていなかったから、とてもびっくりしていましたよ(笑)」

クレイグによると、Helloはアメリカでいま最も急成長しているオーラルケアのブランドだそうです。彼はもっともっと会社をオープンにして、ユーザーとつながらなければいけない、そしてそれを自分でやるべきだ、という信念をもっていました。

そのなかで「you can’t outsource soul(魂は外注できない)」という言葉はとても印象的でした。

偶然、私も彼も同じブラウンの計算機もっていました!

当然、クレイグは出られるときしか出ません。今回のインタビューでも、10分ほどお互いのビジネスのことなどを話しましたが、トークが終わるなり仕事のために走り去っていきました。もちろん、彼と同じことができるCEOは、世界中を見回してもほとんどいないでしょう。ですが、少しでも彼のことが気になったら、コールしてみてはどうでしょう? 自分の考え方が変わるかもしれませんよ。連絡するときは、ぜひJBの紹介でとお伝え下さいね。

ブランディングよりも大切なコミュニケーションがあることを忘ていませんか?

今回、僕は直接彼らとコミュニケーションをとって、とても誠実な人たちだと感じて、フレッシュな気持ちになりました。同時に、世の中にあふれる”完璧なブランド”を見ることに疲れていることに気づきました。何を見ても「これは”ブランディング”というフィルターを通したフェイクなんじゃないか?」と疑う癖がついていたんです。

これからは、もっとリラックスして接することのできる会社を目指してみてはいかがでしょう? そのためには、会社の中の人たちや、あなたが表に出てみるのも一つの手です。

今回のリサーチで、僕の頭にも新しいアイデアがいくつか思い浮かびました。もしコーポレートコミュニケーションで悩んでいることがあるなら、一緒に考えてみませんか?

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