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Staff Stories

会話のようにデザインする。問いかけと返答の応酬に感じる可能性

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「Staff Stories」では、モンスターラボのスタッフを紹介しています。今回登場するのは、モンスターラボに在籍年数10年目のシニアUIデザイナー川上大貴。現在の仕事スタイルに至るまでの背景やデザインで大切にしていることについて話を聞きました。

Guest

Daiki Kawakami

デザイン学科グラフィックデザイン研究室で大学を卒業。2013年モンスターラボ入社後、Webサービスや業務システム、スマートフォンゲームまで幅広くのUIデザインに携わる。主に要件定義からプロジェクトに参加し、開発連携・運用を考慮したデザインシステムやプロセス構築を実行・監督。

仕組みや導線への関心が、いつしか物事の背景へと目を向かわせた

子どもの頃から機械いじりが好きで、ものを分解しては内部の仕組みを調べてました。調べた後も元に戻すわけではなく、「こうしたらどうなるかな?」といじって遊んでいて、「カセットウォークマンを分解し、その部品を使って別の図画工作作品につくり替える」なんてこともしていました。

その後、大学で建築学科に入ると興味の対象は「生活導線」にまで広がり、どういう配置をすれば人が心地よく過ごせる場所になるのか、考えをめぐらせることにおもしろみを感じるようになりました。

ただ周囲は高専で建築を学んできた同級生が多く、経験のない僕は大きなビハインドを抱えた状態。学年があがるに連れて授業についていけなくなり、逃げるように選択肢の中から選んだのがデザイン学科への転部でした。ここでも何もわからないところからのスタート。やはり元から在籍していた人たちとの差を感じて、はじめの頃は「この程度の出来ではダメだ」とつくったものを人前に出すことができずにいました。

再び頑張ろうと思えるようになったのは、大学の研究室に参加するようになってからです。僕が選択した研究室はサインデザインや美術館の提案という建築とも近い領域を主としており、そこにはセンスやスキルだけでない、深く考えられた機能性があるように感じたんです。この頃から、ものづくりをする際に見た目だけではなく、背景にある「なぜ」を考えるようになったことが、自身のスタンスやデザインの捉え方に大きな影響を与えたのではないかと思います。

コミュニケーションへの苦手意識を払拭した「相互作用」の視点

モンスターラボに入社したての頃は、自分のスキル不足を実感してばかりでした。「何をどのようにつくればいいのかがわからない」状態で、すべてが手探りだったと思います。それでも、とにかくデザインというものに触れられることに喜びを感じていました。

エンジニアと一緒に働くようになり、これまで意識してこなかった気づきを得ることも増えました。たとえば「ボタンを押すと、少し拡大・縮小してふわっとさせたい」と伝えたのに対して、「それは具体的に言うと、何がどういう順番で起こりますか?」「何秒で起きますか?」と言われたことがあります。自分なりに考えて伝えていたつもりでしたが、もっと細部まで深く考えなければいけないし、これまでニュアンスで伝わっていた部分も客観的にわかるように伝える必要があると気づきました。

それ以降曖昧な表現を避け、定量的な表現や段階的な説明を心がけるようになりました。そうすることで、きちんと認識を合わせてやりとりすることが少しずつできるようになった気がします。

実は、以前はコミュニケーションが大の苦手で、相手の目を見て話すことができませんでした。伝え方を変えてから、徐々に意思疎通ができるようになった実感が自信になり、どんどん会話がおもしろくなり、いろいろと試してみたいと思うようになりました。

これは「相手の話を聞くのが好き」という部分もありますが、「こういう投げかけをすると、こういう返答が返ってくる」という会話のインタラクションへの興味関心と言えるかもしれません。「こう問いかけたらどうなるんだろう」と聞き方を工夫するのもおもしろくて、自分にとっては発見でした。

ユーザーのことを知り、プロダクトとの「会話」を設計する

ここ数年は業務システム系の案件に携わることが多いのですが、ユーザーが「欲しいかもしれない」と言う機能も、実は事業側の思惑や意図によるものであることが多々あるため、あらためて「ユーザーのための設計になっているか」を吟味することを大切にしています。

アプリのデザインがコモディティ化してきている中で意識しているのは「画面上でのユーザーとプロダクトとの間のインタラクション」です。インターフェースを通じて相互作用し、ユーザーと会話するかのようにプロダクトが反応することはとても大切だと思います。順を追って確認することでつながらない部分を見つけ出し、別の出口にたどり着けるように提案してみたり。情報整理をするにあたり、大小関係や前後関係などに対して「なぜ」を思考する気持ちを持って取り組んでいます。

今後やっていきたいのは「複雑で大変な業務を、デジタル上で少しでも簡単で楽しい業務にする仕事」です。膨大な情報を整理してきちんと分類できたら、業務を簡単で楽しいものにできるかもしれません。実際のユーザーに話を聞いたり、業務の様子を見たりして、「これいらなくない?」ではなく「なぜこれが必要なのか?」と、自分の視点では価値を感じていなかったものの背景や文脈を知って理解することは、とてもおもしろいと思います。

自由研究のように、デザインを楽しみたい

「デザイン」という言葉はとても広義で人によって認識も異なったり、時代によって求められる幅も変化するため、「デザインってなんだろう」ということはこれからもずっと考えていきたいテーマです。日々考える中で、最近「ここはきっと変わらないだろう」と自分なりに思えるものが少しずつ見えてきた気がします。

その根底には「道具が人間を発展させていく」という考えがあります。自分がデザインしたものでユーザーの生活や仕事が良い方向へ変わったら嬉しいですし、自分が想像もしないような使い方をして遊んでほしいとも思います。さらに、そうやって使った人が何かを発見する姿を見ることができたら、「そういうふうに使うのか。じゃあこういうこともあるな」と、自分自身も新しい発見を得られるはずです。

自分が普段出会わない業務やユーザーを調査し、分析して、何かをつくる行為は、どこか「自由研究」に似ているなと思うことがあります。実際に使われる方を思ってデザインし、ユーザーが想定した以上の体験や価値を感じられる姿をいつか発見できるように、これからも楽しんでいきたいと思います。

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by Monstarlab Design Journal

Monstarlab Design Journal 編集部です。 モンスターラボデザインチームのデザインナレッジとカルチャーを発信していきます。

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