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Monstarlab図書室

秋の夜長に読書で思考を深めよう 編

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読書の秋にぴったりな、考えさせられる本を紹介します

こんにちは、Design Journal編集部です。読書の秋ですね。今日は秋の夜長にぴったりな、ちょっと普段とは違った視点で物事を考えさせられる本を紹介したいと思います。普段の業務で行き詰まったときも、読書で新しい視点を得ることでうまくいくかもしれませんよ。

ちなみにACOでは、各自のスキルアップに必要や書物や資料を、会社が負担する支援制度があります。クリエイターにとって、良い本は多くのインスピレーションを与えてくれる、いわば栄養剤。購入した本は社員達でシェアすることで知識を共有し、アウトプットに役立てています。

Formation+Transformation

デザイナー 小林拓也の一冊

『Formation+Transformation』(著)Willi Kunz

タイポグラフィを専門分野とし、スイスとニューヨークで活躍したWilli Kunz(ウィリー・クンツ)が、アルファベットの構造や文字の意味を色んな方向から捉えたロングセラーです。アルファベットを、反転したり、切り離したり、形を崩して他の文字に作り変えて見たり、色んな実験を繰り返して今まで見えてこなかった欧文書体の新しい側面を見ることができます。

CI、VIやポスター作成に応用した例も本の中盤から後半にかけて見ることができるので、タイポグラフィをデザインのバリエーションに入れていきたい方にオススメします。何度も教科書のように読むことができる本ですので、オフィスに一冊置いておくのもいいかもしれません。

断片的なものの社会学

プロジェクトマネージャー 木下早苗の一冊

『断片的なものの社会学』(著)岸 政彦

この本は「何かを教えてくれる本」ではないです。犬の死、路上のギター弾き、小石、元ヤクザなど、社会学者の作者が実際に出会った「分析できないもの」「解釈できない出来事」ばかりをかき集めたエッセイで、何事でもない話を淡々と書いている本。そこに作者の考えや分析、持論はない。なにもないからページをめくるたびにドキドキしたし、書いてあることすべてがキラキラして見えたような気がしました。

この本を読んでからすこしだけ、今までだったら目もくれなかったものごとをふと意識するようになりました。物事を深く考えすぎて頭が凝り固まっているようなときに読むと思いがけないアイデアが生まれるかもしれない本です。

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界

プロジェクトマネージャー 高橋昌之の一冊

『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(著)スコット・ギャロウェイ

Google、Apple、Facebook、Amazonの巨大企業をヨハネの黙示録の四騎士に例え解説しているため、ビジネス書というより歴史書を読んでいるかのような感覚を覚える。誰もがiPhoneを持ちgoogleで検索、Amazonで購入し、Instagramに投稿している時代。もはやGAFAの無い世界は成り立たないと言っても過言では無いくらいくらい、生活に入り込んでいる。

本書を読むきっかけは驚異から。これからデジタルの世界で生きていくためにはGAFA企業のサービスを避けていくことは不可能。どのように向き合うべきか考えるため、まずは知ることから始めようと思い手に取った。GAFAについては知っていることも多かったが、思い読み進めていくとそれ以上に知らなかったこと、本質を誤って認知していたことに気がつくことができた。この夏、AppleとAmazonは歴史上初めて時価総額が1兆ドルを超えた企業となった。本書を手に取るには良いタイミングかと思う。

すごいイノベーター70人のアイデア

プロジェクトマネージャー 須田亘の一冊

『すごいイノベーター70人のアイデア』(著)ポール・スローン

電子レンジ発明家、パーシー・スペンサー。ブライユ点字開発者、ルイ・ブライユ。天然痘ワクチン発見者、エドワード・ジェンナー。この紹介ラインナップを見ただけでも、ありがちなアイデア系の啓発本とは着眼点が違うことが分かると思う。ほっこりしたイラストと簡単な文章でさらりと読めてポジティブにしてくれる、そんな本です。

スペシャルティコーヒー物語

デザイナー 石井宏樹の一冊

『スペシャルティコーヒー物語』(著)マイケル・ワイスマン

日本でも3年前にブルーボトルコーヒーがオープンしたことをきっかけに、いわゆるサードウェーブコーヒーブームが起こっていますが、この本は1990年代に起業してその先駆けとなったアメリカ西海岸3つのコーヒー店──Intelligentsia、Counter Culture Coffee、Stump Town Coffee──の創業者を追ったドキュメンタリーです。

コーヒーを愛する起業家たちが1杯の美味しいコーヒーのために、世界中を飛び回り、科学的な研究を進め、政治的な駆け引きを繰り広げます。そして彼らはビジネスとしての成功だけでなく、自分たちの行動の社会的な意義をあらゆる視点から真剣に考えています。「”フェアトレードコーヒー”なんてものがあるが、本当の”フェア”とはなにか?」「コーヒー農家やバリスタなど、コーヒーに関わる人々の社会的な地位と給料を上げるにはどうすればいいのか?」などなど……。なぜならそれが、より美味しいコーヒーを多くの人が楽しめる世界につながることを理解しているからです。そんなコーヒーに魅せられた人々の熱い想いは、生き馬の目を抜くテクノロジー業界に身を置くデザイナーとしてもとても刺激になります。

イラストエッセイ パンの耳

UXデザイナー 大橋恵の一冊

『イラストエッセイ パンの耳』(著)山藤 章二

夕刊フジ(1976/9/7~1977/1/1)に連載されたエッセイに添えられた山藤章二さんのイラスト集です。時代の流れやその中で起きた出来事、そしてその時代に生きた著名人たちがピリリと辛めの風刺イラストにされています。

私の楽しみ方は、当時連載されたエッセイを書かれていた渡辺淳一さんの風刺の目線をイラストから読み取ること。風刺画はその時代に人々がどう物事を捉えていたのかを知ることもでき、私にとっては斜の目線で書かれた新しい歴史の教科書のようです。

このイラストエッセイの存在感って、例えるなら「集団の端っこで斜に構えて、小声で皮肉を言う少年」。でもその皮肉が時に鋭く的をえていてハッとさせられる。使いようによってはとても良い味が出る、タイトルにもある「パンの耳」なのです。ちょっと肩に力が入りすぎていると感じた時に読むと、学びになり、ふふふと笑わせてくれて、そしてちゃんと現実に帰してくれる一冊です。

秋の夜長は読書で過ごしてみてはいかが?

ところで、「読書の秋」という言葉の起源をご存知ですか? 実は、古代中国の韓愈という文人が書いた「符読書城南詩」という漢詩が起源だそうです。その中に、「燈火稍可親、簡編可卷舒(現代語訳:涼しい秋になったので、ようやく灯火の下で読書を楽しめる)」という一節があるんだそうです。みなさんもぜひ、古代中国にほんの少しだけ思いを馳せつつつ、読書の秋をお楽しみください。

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