- 2015.11.24
自由ゆえの難しさ。そんなフリーランスの本音を語っていただきました。
フリーランスといえば、勤務時間や就業規則に縛られることなく、好きな場所で、好きな時間に、自由に働くことができる魅力がある。しかし、その裏では有休や傷病休暇もなく、価格交渉や時間交渉も、全て自分でやらないといけないという厳しさもあったり…。
一見、身軽で自由にみえるフリーランスだけど、実は「ツラい!」ことも盛りだくさん。この対談企画ではA.C.O.編集部がホストとなり、自分の足で立っていながらも、その大変さを身にしみて理解する人々を招き入れ、酒を飲みながらその魅力と過酷さについて語り合う。
今回のゲストは、エディター/ライター・モリジュンヤさん、PR/Web編集者・塩谷舞さん(しおたん)、WEBデザイナー・ムラマツヒデキさん。業務内容やフリーランス歴の異なる3者が、それぞれの視点でそのホンネを語り尽くす。
– フリーランスはいつ頃から?
モリジュンヤ(以下・モリ)-
僕は2011年からなので5年目だとおもいます。
塩谷舞(以下・しおたん)-
独立したときって何歳でした?
モリ-
24歳の時です。フリーランスになる前は『greenz.jp』という媒体で働いていました。正社員というわけではなく、バイトとして勤務していたこともあって、生活水準はそんなに高くなかったんですよね。なのでフリーになってあまり仕事取れなくても、生活が苦しいという感覚はあまりなかったですね。下手に給料がたくさんもらえるようになってからフリーになると、水準を維持するのに苦労しそうだなって思いますね。
– 確かに、30近くなってからフリーランスになるって、安定感とか考えそうですよね。
ムラマツヒデキ(以下・ムラマツ)-
でもフリーランスになってる人って、なんとなくではじめる人が多い気がするなぁ。1ヶ月やろうと思ったら2ヶ月目になって、そのままみたいな。最初はそんなやる気じゃないから、やんわり初めて大丈夫だったら続けてる。やばかったら転職するくらいのテンションで、それがそのままうまくいっただけの話じゃないかな。
– でも、最初って営業しないとキツくないですか?
モリ-
「やめましたブログ」の影響力は結構ありましたね。
ムラマツ-
もともとネームバリューのあるところにいると、やめましたブログとかいいですよね。
モリ-
僕は多分相性がよかったんですよ。普段からwebメディアで記事も書いていたので、その記事を読んでくれている人がたくさんいて、webメディアでは書いた記事にアカウントが表示されて、それがそのままTwitterのアカウントと紐付くので、認知してもらえていたことが大きいと思います。
しおたん-
私は今年5月からフリーランスになりました。独立するのが不安だらけで本当に悪夢ばっかりみちゃって…•。退職を決心してから実際にフリーになるまでに次なる足場を固めておくべきか……と思って焦りまくっていましたが、転職する訳じゃないので、1社に決めればOKということもないし、辞めるその日まで足場はグラグラで不安でした。でも、退職後にやめましたブログを書いて、それでうまいこと仕事が来ればいいなと思ったら、そのブログをみて50件くらいお問い合わせが来て…。
- 全員
-
えー!!!
ムラマツ-
でも、お問い合わせは安心につながるよね。
しおたん-
そうなんですよ。だから焦って水面下で営業活動するより、辞めました!仕事ください!バーン!ってオープンに伝えた方が、ちゃんとお仕事もらえていいなって思いました(笑)。仕事の性質にもよると思うんですけど……。
労働と収入のバランス感覚
– 仕事があって、働けば働くほどお金を稼げるとなると、無理してでも働いてしまったり、動ける時間をいかに効率的に動くか考えると思うんですが、リソースってどう管理してますか?
ムラマツ-
例えば1ヶ月半とかの大きい案件で、リソースをがっつり取られちゃうと取り回しが難しくなるかな。リスケやキャンセルになると、ガッツリスケジュールに穴が開いて死にそうになる。細かい案件のほうがひとつずれたり無くなっても、他をずらしたりできるから自分のリソースのコントロールがしやすくて楽だね。最近はデザインしかやってないけど、Web制作でコーディングとデザイン一式とかやると、何ヶ月とかかかっちゃうじゃないですか。それがキャンセルとかになっちゃうと本当にツラいからね。リソース的には、10〜20日くらいの仕事を堅実に積み上げる方が、気持ち的には楽かな。
モリ-
僕は、一応頑張ってパツパツにならないようにしているんですけど、複数プロジェクトに関わってると、なぜか一度に忙しくなるときとかあって、そのタイミングが来るとさすがにキツいですね。
— そういうとき、知り合いの会社とか振れる人作ってマージンもらうこととかしてますか?
ムラマツ-
それやったら確かに儲かるけど、なかなか勇気が必要じゃないですか?
モリ-
フリーランスで仕事がもらえてるからこその悩みなんですけど、「モリさんだからお願いしたい」っていう案件があったとして、それって同じように動ける人がたくさんいる状態だったら、そもそも僕に話が来ていないかもしれないんですよね。つまり、その案件って自分が受けられなくて人に振ろうと思っても、同じように動ける人って多分あまりいなくて、結局振れなくて断らなきゃいけないみたいになりますね。
しおたん-
モリジュン先生が求められるのって、国内外のビジネスやスタートアップシーンに対するリテラシーがめちゃんこ高いからですよね。そのあたりの状況に詳しいのって、経営者か、投資家か、モリジュン先生か……あとホントに一握りのライターさんしかいない。
モリ-
ライティングだとそもそも単価が高くないんですよね。
しおたん-
確かに。例えば30万規模くらいの案件なら複数人で入れても、10万以下の案件をフリーランス同士で分担するのは難しいですよね。
モリ-
逆に人に振った分管理コストの方が上がっちゃうんじゃないかって悩みがあったりで。
しおたん-
ですよね。私はWeb制作案件も受けてるんですけど、その場合はライティング仕事よりも単価が高いし、複数人で進めやすいです。
ムラマツ-
僕の場合デザインに期待してもらって頼んでくれている事が多いから、忙しいときは外注で振れる要素があったとしても、仕事をいただく段階で部分的に断ってしまうことが多いかなぁ。例えば単純なコーディングとか。
モリ-
制作とかはまとまった時間が必要な代わりに、単価も大きいじゃないですか。ライティング案件って発生から納品までの期間が短くて、単価も小さい。これをぐるぐる回すのはけっこうしんどいんですよ。だから『THE BRIDGE』のようなメディア運営の仕事に関わったりして、ライティングと組み合わせて仕事のバランスをとるようにしてますね。
しおたん-
ライティングだけで稼ごうとなると、ちょっとツラいですよね。1本1、2万円で取材も行ってきて記事書いて……みたいなのだけで月30本とかまわしてると心身ともにマジで疲れちゃうと思います。私の場合はウェブディレクターとPRも兼ねてるから、拡散できますとかウェブの相談も受けますとかを含めて、深く関われるように相談することが多いです。「1本1〜2万円で速く書く」以外の何かで勝負できないと、息がもたないっす。
体が資本。無理は禁物
— 体力面的なツラさはありますか?
しおたん-
お恥ずかしいお話ですが、私1回倒れました。独立してすぐは仕事が楽しすぎて、寝る間も惜しんで超働いてたんです。心身ともに絶好調だと思っていたら、朝、突然胃腸が痛くなって倒れて救急車で運ばれました。ただ、救急車乗るときまだ保険証作ってなくて…。
- 全員
-
えぇ!それはやばい(笑)
しおたん-
言い訳すると、申請に時間がかかる文芸系の保険組合に入ろうとしてる途中だったんですよ!! で、床でばたばたしながら「今保険証ないのに・・・」って、診察料におびえながら担架に乗ってました。で、体に大きな異常はなかったので、病院から帰ってきて速攻で役所に行って保険証をいただきました。普通の国民健康保険は役所に行けば一瞬で作れるんですね。保険証は、会社辞めた日に作った方がいいですね…。
ムラマツ-
モリさんは病気になったりします?
モリ-
風邪引くくらいですね。
ムラマツ-
僕、すごい喉が痛くなっちゃうんですよ。だいたい3ヶ月に1回点滴打たなくいけなくなって。喉に菌がたまっちゃって点滴打たないと直らなくなっちゃってるんです。生活リズムがおかしいとなるらしいですね。
— 日頃から体調管理で気をつけてることってあります?
モリ-
寝るようにしました。やばいって時は2〜3時間で起きたりしますけど、大体6〜8時間は寝るようにしてます。「頑張って起きてやる」じゃなくて「寝て起きてからやる」みたいにしてますね。
しおたん-
実は寝れるタイミングでお昼寝してたりするので、むしろ朝から終電過ぎまで働く会社勤めの人の方が就労時間は長いかも…?
ムラマツ-
たしかに、会社員の方が働いてるよね。
しおたん-
フリーランスって、仕事の調整役も、実行役も、謝罪役も自分だから、何か暗雲たちこめたときはクライアントに相談すると、解決までもスピーディーだって思いました。
ムラマツ-
そうだね。フリーランスって、自身で納期を交渉する裁量が大体の場合与えられているもんね。ちょっと難しそうみたいな相談をすれば、無理そうなら半日伸ばすみたいな。
— フリーランスに頼む人ってある程度そういう理解がある人も多いですよね。
ムラマツ-
そうだね。あなたにお願いしたいみたいな仕事だから、駒のような使われ方はしづらいよね。
あれれ、フリーランスって思いのほか、ツラくない!? vol.2につづく。
Guest
-
Junya Mori
モリジュンヤ
1987年2月生まれ、岐阜県美濃加茂市出身。横浜国立大学経済学部卒業後、『greenz.jp』編集部を経てフリーに。『THE BRIDGE』『マチノコト』など複数のメディアの運営に携わり、幅広いテーマで執筆活動を行っている。 -
Mai Shiotani
塩谷舞
1988年大阪の千里生まれ。京都市芸大卒・SHAKE ART!初代代表。CINRAを経てフリーランスに。PRや執筆などがおしごと。お菓子屋さんのオウンドメディアTHE BAKE MAGAZINE編集長。DemoDay.Tokyo運営中。インターネットが大好き。 -
Hideki Muramatsu
ムラマツヒデキ
2007年から都内Webプロダクション数社にて大規模企業サイト、プロモーションサイト、ECサイトなど、多岐に渡るWebサイト制作を行いQUOITWORKS名義にて2013年フリーランスへ転向。プライベートワークとして縦長のwebデザインギャラリー「MUUUUU.ORG」の運営を行う。最近の仕事として「沖縄戦 全記録」(デザイン)などがある。 -
DOOR Shibuya
(店舗提供)
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by Monstarlab Design Journal
Monstarlab Design Journal 編集部です。 モンスターラボデザインチームのデザインナレッジとカルチャーを発信していきます。
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Overview
×- 社名
- 株式会社A.C.O.
- 設立
- 2000年12月
- 資本金
- 10,000,000円
- 代表者
- 代表取締役 長田 寛司
- 所在地
- 〒150-0012 東京都渋谷区広尾1-1-39恵比寿プライムスクエアタワー6F