- 2016.09.20
一見、華々しく映るWeb業界だけど、実は「ツラい!」ことが盛りだくさん。この対談企画ではA.C.O.編集部がホストとなり、自分の足で立っていながらも、その大変さを身にしみて理解する人々を招き入れ、酒を飲みながらその魅力と過酷さについて語り合う。
今回のゲストは、BITAデジマラボ編集長の株式会社ビットエー・飯野希さん、ジモコロ編集長の株式会社バーグハンバーグバーグ・徳谷柿次郎さん、DiFa 発行人/GMの株式会社スパイスボックス・水谷博明さんの3人。編集長はメディアという船の舵を握る重要な役割。多くの人々に影響を与えるコンテンツを作れる可能性を秘める反面、記事の質からPV数、ライターとのコミュニケーションにいたるまでさまざまな責任とプレッシャーに負われる苦労も…。自社メディアとクライアントワーク、地方、ファッション、テクノロジーまで。様々なオウンドメディアの編集長が、その苦労を語り尽くす。
ー まずは簡単に自己紹介をお願いします。
飯野希(以下・飯野) 『BITAデジマラボ』の飯野です。デジマラボは「発想と実装の 間 をつなぐメディア」をコンセプトとして掲げていて、端的にいうと、AIのような最新のテクノロジーをビジネスに取り入れる手助けをできるようなコンテンツを提供しています。
運営しているのは僕が所属するビットエーというWeb制作会社です。今年の4月にスタートしたのでちょうど5ヵ月目で、僕は前職で全然違うことやっていたので、ライティングの経験もあまりない若造編集長です。
水谷博明(以下・水谷) 『DiFa』発行人&責任者の水谷です。『DiFa』はデジタルテクノロジー×ファッションをテーマにしたバーティカルメディアです。
去年の10月末に立ち上げたばかりで、まだ10ヵ月弱の若いメディアです。バーティカルメディアなのでターゲットを結構絞っていて、デジタルネイティブでファッションセンスを持つ、ちょっとエッジの立った人たちを狙っています。読者層としては20〜30代が中心で、6:4で女性の方が多いです。スパイスボックスというデジタルマーケティングを得意とする博報堂グループの会社で運営しています。
徳谷柿次郎(以下・柿次郎) 『どこでも地元メディア ジモコロ』の編集長をやっている、バーグハンバーグバーグ(以下・バーグ)の徳谷柿次郎です。
僕だけ自社メディアじゃなくてクライアントワークなんですけど、ジモコロはアイデムさんという求人広告会社のオウンドメディアです。アイデムさんは新聞折り込み広告やっている地方での営業力がある企業なので、地方で地元に強いメディアをつくればいいんじゃないかと、バーグと代理店さんで一緒に提案したメディアがジモコロなんです。
2015年の5月からスタートして、いま1年4ヵ月目ですね。テーマとしては地元と仕事っていう2つのカテゴリーがあるんですが、基本的には何でもできます。東京でも地元の仕事でもいいですし、地方の地元の仕事でもいい。結構好き放題にやらせていただいていて、3、4人くらいで足を使って取材して記事を作っています。
スキル、経験、クライアント…。立ち上げの苦労と苦悩
ー このA.C.O. Journalは業務の合間で作っていたので、結局6ヶ月位かかって…。立ち上げにはかなり苦労したんですが、皆さん立ち上げでの苦労はありましたか?
飯野 立ち上げはキツかったですね…デジマラボは2週間で立ち上げたんですよ。
全員 2週間!?
飯野 そう、やるって言ってから記事が最初に出るまでが2週間でした。僕自身ライター経験も編集経験もない状況で編集長を任せていただいて。メディアとはそもそも何か、どうすれば立ち上がるのかもわかっていない状態で、あの2週間は本当大変でしたね…。
楽しかった部分も勿論あるんですけど、とにかく何をすればいいかがわからない、というツラさがありました。多分やったことのある人からすれば、こういうところ潰していけばいいみたいなのがあると思うんですけど、僕はそれを知らなかったので。
水谷 2週間はすごいですね! DiFaの場合は通常の広告プランニング業務と平行して進めていたので、最初の企画から立ち上げまでは半年位かかったと思います。個人的に苦労したのは、僕が広告のプランナーだったことですね…。プランナーは営業やプロデューサーと一緒にチームで動きます。なので、僕がプランニングしたものを周りの人がサポートして実現してくれるという環境でずっと仕事をしてきました。(本当にありがたい環境ですよね)
でもメディアを2、3人で運営し始めると、そうはいっていられません。自分でネタも出しますし、取材同行しますし、場合によってはカメラもやります。加えて、メディアとしてのビジネスモデルや成長戦略、さらには、クライアントへの営業、イベント出演、、までとにかく作業ボリュームが圧倒的に増えたのがとにかくツラかったですね。
柿次郎 僕の場合ちょっとみなさんと苦労したポイントが違うかもしれません。もともと編集プロダクションにいたり、若い時に編集長のようなことをやったことがあったので、やること自体のイメージは大体あったんです。
ただ、アイデムさんというクライアントと一緒に、どういった記事を作るかをすりあわせるのがとても難しかったです。バーグはオモコロのような面白記事を期待されることが多いのですが、果たしてそれでいいのかが掴みきれなかったんです。いままでやってきたバーグ的な企画の延長線上のものは形にならなくて、1から企画を組んでいきました。この時は手探り感が結構長くて苦労しました。
その感覚をクライアントと社内で共有し合いながら、徐々に形作っていって、メディアの色とクライアントとの信頼関係を作るのに最初の3ヵ月〜半年はかかりました。でも立ち上げ期にバーグと代理店さんとアイデムさんの3社です信頼関係を作れたからこそ、いまはすごく自由にやらせて頂いけていますし、いいコンテンツを作れる土台になっていると思います。
責任者としてのプレッシャーと孤独
ー 編集長といえばさまざまなプレッシャーがあるかと思いますが、皆さんはどういったところでプレッシャーを感じられていますか?
飯野 編集長って自分のなかでOKラインを決めて、記事を出して。反響を得られたか否か含めて、全ての責任を負う立場だと僕は思っていて。つまりデジマラボがどう成長していくかは自分にかかっているというとこでプレッシャーを感じることはありますね。これはイケると思って出した記事が全然伸びず、何の反響もなかったりすると、やっぱりへこみますよ。
柿次郎 プレッシャーというか、責任は感じますね。ただ責任に押しつぶされてもダメだなとも思っていて。責任につぶされず良いメディアにするために、僕は2軸で記事を作るようにしています。1つはPVという1つの指標に対してしっかりと応える記事。こっちは、ヨッピーさんやARuFaくんみたいなファンの多いプレイヤーを抱えているため、とても心強いです。そしてもう片方で作っているのが、PVを目標とするよりも、土地の歴史や文化を掘り下げたジモコロらしい記事。地味かもしれませんが、ちゃんと深く刺さることを目的としています。両軸を意識して作ることでジモコロとしてぶらさずに進める。
あとプレッシャーでいうと、オウンドメディアって「1年目ボーナス」があるじゃないですか。「新しいメディアが出てきた」みたいな視点で、メディア関係者がシェアしてくれる。ジモコロも当初は同じだったんですが、2年目に入って、ここでブレずに続けるか、もっと狙いにいくべきかみたいなとこでのプレッシャーをいま結構感じてますね。
飯野 1年目ボーナスはありますね。デジマラボもいままさにその最中なので、来年が怖いです。編集長のプレッシャーはやっぱり大きいと思います。舵取りを任されているわけですから。
水谷 確かにプレッシャーはありますね。「これは本当に正しいのか」と、取捨選択や方針を決める時には常に思います。記事でいうと、過去にはニュース系の記事をバンバン出してた時期があったんですが、最近は質の高いものを本数減らしてでも出すようにしてて。舵を切るときには結構悩みました。ビジネスでいうと、広告でのマネタイズをやらないとか、もっとコンサルに力を入れるとか、数ある選択肢の中から取捨選択していくことに悩み考え続けています。最終的な決定も、責任も全部自分に降りかかるので。編集長って孤独でもありますよね…。
編集長という立場ならではのつらい話が徐々に飛び交った前編。後編ではメディアならではの苦労から、PV/UUといったリアルな数字の話まで。ツラい話はまだまだ続く…。
Guest
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EnglishName
Nozonu Iino
新卒でキヤノン株式会社に入社。ユーザビリティエンジニアとしてハードウェア内のコンテンツ企画設計・導線設計を担当する。2016年に株式会社ビットエーに入社し、「発想と実装の間をつなぐWebメディア」をコンセプトとするBITAデジマラボの編集長に就任。一方でデータサイエンティストとしても活動。
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EnglishName
Hiroaki Mizutani
「デジタル×ファッション」に特化したWebメディア DiFa の発行人・責任者。株式会社スパイスボックスで様々な企業のコミュニケーションプランニング&クリエイティブディレクションを担当し、DiFaを立上げ。ソーシャル運用、イベント企画、サイト制作、オウンドメディア戦略、撮影、プロジェクトマネジメントなど、何でもやっています。
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Kakijiro Tokutani
徳谷 柿次郎
1982年生まれ。大阪府出身。株式会社バーグハンバーグバーグ メディア事業部長。ライター編集者→WEBディレクターという謎のクッションを経て、現在は「どこでも地元メディア ジモコロ」の編集長として全国47都道府県を飛び回っている。趣味は「日本語ラップ」「コーヒー」「民俗学」など。
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Overview
×- 社名
- 株式会社A.C.O.
- 設立
- 2000年12月
- 資本金
- 10,000,000円
- 代表者
- 代表取締役 長田 寛司
- 所在地
- 〒150-0012 東京都渋谷区広尾1-1-39恵比寿プライムスクエアタワー6F